深刻化する駐車場不足問題 中国新興企業、AGVによる自動駐車を実現

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駐車場問題に頭を痛めている人は多い。駐車場不足が深刻化しているため、駐車スペースを増やし、駐車場の空間利用効率を高めることが急務となっている。その一方で、駐車場料金の高騰や維持管理に伴う手間とコストが、物件管理業者や物件オーナーに重くのしかかる。

近年、政策の後押しもあって、中国の都市部では駐車施設の改修が進んでいる。現時点で主流となっているのは機械式立体駐車場とAGV(自動搬送車)を活用した駐車場の2種類だ。立体駐車場は駐車スペースを増やすのに有効ではあるものの、駐車する際に車体をこすったりしやすいなど使い勝手に難がある。一般的なAGVによる駐車自動化システムは、導入コストがかかる割に駐車スペースはそれほど増やせない。

このような背景のもと、2018年に設立された「達泊智能(Double Parking Intelligent)」はAGVを活用したインテリジェントパーキングに注力している。創業者の符建博士は「AGVの積載重量は3トンほどで、ビジョンシステムによる測位ナビゲーションや協調型スケジューリングシステムを備えている」と紹介する。提供するのはソフトウエアとハードウエアを組み合わせた立体駐車ソリューションで、駐車スペースを増やし、駐車管理を最適化することにより、駐車場の使用効率を高められる。

達泊智能の製品

同社は重量物の運搬や昇降技術をベースに、重量物昇降用のAGVを活用して1台分の駐車スペースに2台駐車できるようにしたり、車両通路を改造して通路上に駐車スペースを追加したりしている。駐車場が満車の場合は、車両運搬用AGVの待機場所を駐車スペースとして利用することもできるという。

維持管理コストについて、符博士は「従来の機械式立体駐車場は構造が複雑なうえ、駐車スペース20台ごとに有資格のメンテナンス要員を1人配置する必要があり、維持管理の人件費や経費が高止まりしていた。弊社のソリューションなら技術者1人を常駐させるだけで済む」と語る。

達泊智能はシミュレーションシステムも独自に開発している。ソリューションの導入前に、図面上の要件に沿って入出庫の所要時間やAGVの運行、渋滞などをシミュレーションし、それに基づいて駐車スペースのレイアウトや車両受け渡し場所の数、AGVの走行経路、建設費などを含む設計プランを打ち出す。

導入後は、シミュレーションシステムが可変式の車両動線ソリューションを作成し、ピーク時の混雑緩和を図る。まず車両の流れを学習させたうえで、入庫ピーク時には車両受け渡し場所の大部分を入口に切り替え、逆に出庫ピーク時には出口にして対応する。多数の車両が列をなしている場合には、いったん車両を待機エリアに置き、長時間駐車する車両は奥に、短時間の駐車なら車両受け渡し場所の近くに配置するなど、利用者の利用予定に応じてシステムが調整を行う。

このシステムは待ち時間を減らせるだけでなく、いっそう便利でインテリジェントな駐車サービスの実現にもつながっている。利用者が所定の場所に車を止めると、その後の作業は全てAGVが行う。駐車や車両受け取りはアプリもしくはミニアプリから予約する。

符博士は自社の一番の強みとしてAGV運行管理システムと高い測位精度を挙げる。「運行管理システムは、AGV同士の協調、回避、稼働効率などを制御・調整するものであり、測位精度は駐車場全体の効率に直接関わるものだ」。達泊智能は現在、ビジョンシステムと2次元コードによるガイドを組み合わせて、経路の設計や調整を行っている。

同社はすでに河北省雄安新区、福建省福州市、広州市の複数地域で駐車場の改修や新設、新エネルギー車向けの充電可能な駐車場などのプロジェクトを手がけている。

今後は、古い集合住宅エリアの駐車場や小型のタワーパーキング、屋外駐車場など、AGVを利用した立体駐車ソリューションの活用シナリオの開拓を継続していくという。さらに防水型AGVとモジュール式車両受け渡し場所を組み合わせた屋外駐車場ソリューションも間もなく打ち出す予定だ。
(翻訳・畠中裕子)

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