サクサク執筆できる補助ツール「筆神」、AIが素材や表現を自動レコメンド

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インターネット上で情報を発信することが容易になった現在、媒体も送り手も爆発的に増えた。それに伴って、制作を補助するオンラインツールも多く登場している。スマートレイアウト、マインドマップ作成、ドキュメント共同編集、マルチプラットフォームでの同期などが挙げられるが、これらはコンテンツ制作者にとって十分なものだろうか。

2017年末に設立された「一筆両劃科技(onepen.ink)」は、AI技術を導入し、執筆作業の効率化を支援する「筆神-AI執筆補助ツール」を発表した。自然言語処理やレコメンドアルゴリズムを活用し、ライターにさまざまなテキスト素材を提供するサービスだ。

既存の執筆補助ツールはほとんどが原稿作成後の作業を補助するものだが、「筆神」は執筆そのものを支援する。同社が行った市場調査によると、コンテンツ制作において、「着想が湧かない」「表現方法がわからない」ことが効率に影響していると判明。筆神は執筆の進度に沿って適切な用語や表現を提供し、豊富な語彙で筆者の視点を正確に表現できるよう支援する。

筆神の主な機能は以下の通り。

■意味解析に基づくスマートレコメンデーションにより、キーワードに対する適切な執筆素材を自動的にレコメンドする。リソースは古文から現代文、公文書など多岐にわたる。
■書き進めるにしたがって必要となる素材を予測し執筆中に簡単にアクセスできるよう、随時別ウィンドウで表示する。
■ユーザーは自身で収集したデータを保存できる素材ストレージを利用できる。

執筆の進度に伴って適切な素材をレコメンドできる背景には、1兆を超える文章素材の蓄積がある。名文、名言とされるものはもちろん、詩や公文書、ネットスラングまでを収集し、AIがタグ付けする。ユーザーが直前に執筆した内容から続きを予測して提案し、内容の一貫性を確保する。

プラットフォームには現在、213万9000本の文字コンテンツが蓄積されている。文字数にして14億5582万字だ。これらを活用し、ユーザーは平均して1日7000字を執筆できる。他社のプラットフォームを利用した場合は、1日に執筆できるのは2000~3000字程度だという。1ユーザーあたりの利用時間は1日6時間以上で、7日後の継続率は57%だ。

同社の現在の収益源は会員費。今後はキングソフト(金山軟件)と提携し、オフィススイート「WPS Office」の公式サプライヤーとしてもAI技術を提供していく。また、ユーザーの利用履歴やレビューから、公文書と作文でとくに需要が高いことがわかっため、両分野に特化した製品の開発も進め、関連するコーパスも構築していく。将来的にはユーザーから吸い上げたデータの蓄積やアルゴリズムのアップデートにより、あらゆるジャンルに対応できるプラットフォームを実現していく構えだ。

創業者の宋嘉偉氏は北京航空航天大学を卒業後、ソニーでシニアシステムアーキテクトを務めたほか、対話型ロボット開発メーカー「奇点機智(NATURALI)」でCTOを務めた経験を持つ。また、アマチュア作家としての受賞経験もある。共同創業者の任慧岩氏は北京大学卒業後、香港中文大学で修士を取得。Androidのコンテンツ管理アプリ「豌豆荚(SnapPea)」の責任者を務め、奇点機智でオペレーションディレクターも務めた。同じく共同創業者の陳碩氏はキングソフト出身の連続起業家、祝韜氏は捜狐(SOHU)や奇点機智でキャリアを積み、AIアルゴリズム分野で豊富なキャリアを持つ。一筆両劃科技は2018年1月にシードラウンドで「真格基金(ZhenFund)」から数百万元(数千万円)を調達している。
(翻訳・愛玉)

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