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2018年、中国のスマホ市場全体の出荷台数がさらに落ち込み、顧客獲得競争が激しさを増す中、値上げは消費者が最も敏感に感じることの一つだ。そしてこの「値上げ」の背景には、スマホの製造コストの上昇と各ブランドがミドルレンジ~ハイエンド市場を狙うため行った技術革新の影響がある。
IT専門調査会社IDCが発表した最新の「中国携帯電話市場四半期追跡報告」によれば、多くの企業の製品構造に、値上げ以外にも一定の変化が見られるという。IDCの2018年第4四半期のデータを元に作成したのが以下の表である(販売チャネル内で過剰在庫が発生している可能性もあるため、参考程度)。
シャオミは販売台数を「犠牲」に値上げ
中国スマホ大手のシャオミ(小米)の場合、2018年中国スマホ市場での平均販売価格は1205元(約1万9000円)。2017年と比べると、平均販売価格は21.3%上昇し、販売台数は6%減少している。
一見すると、価格上昇が販売台数減少を招いたかに見える。しかし、実際のところ両者にはあまり関係がない。
この1年間におけるシャオミの変化の分岐点は、2018年7月の香港上場である。上場前、シャオミは「安価・大量販売」戦略を取り、低価格モデルのスマホ「紅米(Redmi)」シリーズの新機種5種類を発表し、2017年以降続いていた出荷台数急増の勢いを維持していた。ところが下半期、シャオミはプロダクト戦略を調整し、紅米シリーズの新機種の発表は戦略的に見送られた。その結果、高性能モデル「小米(Xiaomi)」シリーズが主役となった。そして、2019年初め、紅米は、小米から独立し、それぞれ別々のブランドとして戦うことになった。
シャオミがブランド戦略を模索する中で生じた、紅米の不在という状況により、2018年下半期の国内出荷台数が大幅に落ち込んだのは当然の結果である。2019年は、小米と紅米は「量(販売台数)と価格の上昇」の実現に向けて、共に戦わなければならない。
OPPO、vivoの平均販売価格は下落
上述のIDCの報告によれば、「量と価格の上昇」を成し遂げたのはファーウェイ(華為技術)のみだ。昨年ハード面を大きく改良したイメージがある中国広東欧珀移動通信の「OPPO」と維沃移動通信の「vivo」だが、トップ6(ファーウェイ、シャオミ、OPPO、vivo、Honor、アップル)の中で、この2ブランドだけが平均販売価格を下げていた。
OPPOとvivoは、よく似たプロダクト戦略を採っている。OPPO Find Xやvivo NEXといったハイスペック製品をハイエンド市場に投入する一方、OPPO Kシリーズやvivo ZシリーズでシャオミやHonor(ファーウェイのサブブランド)が独占する高コスパスマホ市場にアプローチしているのだ。
予想外のサムスンと魅族、アップルはゆるやかな値上げ
一方、予想外だったのが韓国のサムスン電子と中国の「魅族(メイズ)」だ。2018年、中国市場におけるサムスンのスマホの出荷台数は74%減少したが、反対に平均販売価格は38.5%上昇した。ハイエンド機種のSシリーズやNote好調であったが、Aシリーズ、Cシリーズ、Jシリーズといったミドルレンジ~ローエンド機種は中国ブランドに蚕食された。そのため、サムスン製品の販売台数と価格の二極化が進んだ。
また、魅族の2018年の販売台数は79%減であった。これはIDCが調査した販売台数トップ10ブランドの中で最も下げ幅が大きく、中国「錘子科技(Smartisan)」や「360手机(360 Phone)」よりも下げ幅が大きい。売上高のデータがないため魅族の平均販売価格は分からないが、第10位の錘子科技の売上高が6億7700万ドル(約744億7000万円)であることから、魅族の2018年中国国内の平均販売価格は、シャオミより低い1123元(約1万8000円)以下と見られている。
価格について常に論争を呼んできた米アップルだが、2018年中国市場の平均販売価格は6000元(約9万6000円)に迫り、販売台数が第5位でも売上高は第1位を誇っている。
(翻訳・桃紅柳緑)
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