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近年、「メタバース」という新たな概念が誕生したことで、世界中でゲーム、映画、スポーツなど、エンタメの世界でもメタバースの可能性が多く語られるようになっている。今回のオンラインセミナー「メタバース時代の映像革命〜未来型エンタメのビジネス化」では、世界中でクラウド技術を提供するテンセントクラウド、伝統芸能やエンタメ業界に最先端の映像技術を持ち込む松竹の2社が、映像の進化を支える技術と活用事例について紹介した。
最短1日、ワンクリックで期待通りのバーチャル空間を作成
テンセントジャパンの楊斌氏からは、メタバース空間におけるテンセントクラウドの技術活用という視点で、クラウドレンダリング技術や、バーチャル空間を作るソリューションについて紹介された。
特に注目なのは、テンセントが最近提供を始めたバーチャルインタラクティブスペース(VIS)という仮想空間を簡単に作れるソリューションだ。例えば、バーチャル展示会やバーチャルコンサート、バーチャルオフィスなど、ニーズのあるシーンに合わせたテンプレートを予め用意しておくことで、ワンクリックで迅速にバーチャル空間の構築ができるという。
また、中国で話題となった「3Dバーチャルダンス大会」でも、テンセントのソリューションや技術が活用されている。バーチャル空間上で提供される機能として、参加者のアバター作成などはもちろんだが、それ以外にも多岐にわたっており、例えば中国のネット生活に欠かせないライブ配信や、音声通話、ライブ中継など、バーチャル空間でユーザーを楽しませる工夫がいたるところに見られるのも特徴だ。
バーチャル空間上で、リアル以上に盛り上がり、インタラクティブな体験ができる取組みが中国ではすでに数多く実施され、ダンスや音楽シーンだけでなく、バーチャル旅行、ビジネス展示会など、様々な業界に広がっているという。
テンセントは、日本でもメタバース領域で事例を積み重ねており、引き続き日本企業とのコラボレーションを期待しているということだ。
テック系スタートアップとの協業で、新しいエンタメビジネスを加速
松竹の事業開発本部イノベーション推進部の飛田紗里氏と賜正隆氏からは、「松竹が挑戦するメタバース」をテーマに、先端技術を組み合わせた取り組みの紹介、特に「META歌舞伎」というメタバースの概念をも取り入れた事例について紹介された。
松竹ではNTTのような大企業との協業だけでなく、テック系スタートアップとの協業にも積極的で、2018年にはカディンチェ社とジョイントベンチャー「ミエクル株式会社」を設立、映像技術の研究開発やXR領域のコンテンツ開発を進めている。特に2022年1月に開設した代官山メタバーススタジオは、これまで映像作品を制作する際に発生していた長距離移動や天候など多くの課題を解決するメタバース時代の大きな武器になると期待される。
「META歌舞伎」も同スタジオで制作され、実際の舞台では表現できないような、3DCGならではの演出やエフェクト表現にも挑戦したという。古典を守りつつも時代に合わせて常に新しいことにチャレンジをしてきた歌舞伎だからこそ、メタバースとの融合も今後さらに進んでいくだろう。
7月1日にCVCとして「松竹ベンチャーズ株式会社」の設立と、スタートアップとの共創を目的としたアクセラレータープログラム「Shochiku Accelerator2022 Entertainment Festival」の開催を発表。エンタメ事業を中心に新しい領域でのビジネス機会の探索が今後さらに加速する計画だ。
中国ではBATをはじめとした中国IT大手、スタートアップが続々とメタバースに参入
36Kr Japanのメディア事業責任者の王氏からは中国のメタバース最新事情について紹介があった。
中国で投資家から注目を集めスタートアップが多く出ている分野として、「ハードウェア」「コンテンツ・仮想空間」「基盤技術」の盛り上がりがあるという。またバイトダンスやアリババ、バイドゥなども積極的な投資と応用シーンの創出に注力している。資金調達が活発なだけでなく、実際に活用される注目のメタバース事例が出てきていることも中国の特徴だ。
(36Kr Japan 編集部)
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