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ソーシャルコマース管理プラットフォーム「SleekFlow」がこのほど、シリーズAで800万ドル(約11億円)を調達した。タイガー・グローバル・マネジメントが出資を主導し、AEF Greater Bay Area FundやTranscend Capitalが出資に加わった。今回調達した資金は主にプロダクト開発や市場拡大に充てられる。SleekFlowは昨年5月にもプレシリーズAでアリババの香港創業者基金(AEF)から資金を調達した。
コロナ禍以降、世界ではソーシャルコマースが急成長している。ソーシャルコマースとはWhatsApp、Facebook、Instagram、WeChat、TikTokなどのソーシャルメディアを介して行うオンライン取引を指す。調査会社Grand View Researchのデータによると、2030年までに世界のソーシャルコマース市場は6兆2000億ドル(約860兆円)規模に膨らむと見込まれている。
ただソーシャルコマースを導入するブランドは往々にして、ソーシャルアカウントの種類が多く、大量の情報を管理するのが難しいという悩みを抱えているほか、ショッピングアドバイザーのアカウント割り当てが難しく、プライベートアカウントとパブリックアカウントが混在しているなどの状況が見られる。2019年に香港で設立されたSleekFlowはこの問題に着目し、SNS上での商品販売、カスタマーサービス、マーケティングを一体化したSaaSツールを開発した。同社のアプリでは、複数のプラットフォームをまたいだ顧客管理、マーケティングの自動化、チャット内での商品購入、ユーザー分析などの機能が利用できる。
SleekFlow創業者のヘンソンCEOはプラットフォームの主な機能として以下を挙げる。
まずソーシャルメディアの一元管理と自動化。異なるソーシャルメディアを連携させることで、複数のソーシャルメディアを1つのアプリで管理できるようにした。消費者から送られたメッセージは、ブランド側の設定に基づいてショッピングアドバイザーごとに自動で振り分けられるほか、ユーザー行動や時間帯に応じた自動返信やプッシュ通知を設定できる。
バックエンドの社内メッセージ機能では、スタッフが同僚や上司と直接連絡を取れるようになっている。さらにショッピングアドバイザーが商品を直接クリックして、関連する商品リンクを消費者に送信できる商品カタログもある。
次にチャット内での直接購入。消費者はショッピングアドバイザーがシェアしたリンクを通じて直接購入できる。これは競合SaaSツールにはないSleekFlowの目玉機能だ。ヘンソンCEOは「オンライン決済のStripeと提携したことで、アプリ内決済が可能になった」と語る。これによりSleekFlowはユーザーの消費データを大量に蓄積することができている。
最後にユーザー分析。複数のプラットフォームを連携させ大量の決済データを蓄積すれば、ユーザーの消費習慣を把握でき、チャットから応答時間やメッセージ開封率、販促率などの関連情報を分析することができる。ヘンソンCEOは「データをもとに実際のユーザー行動を分析して初めて、コンバージョンにつなげることができる」とした。
特筆すべきは、SleekFlowがマーケティング管理も提供していることだ。ブランドは同社のSaaSツールを通じてさまざまなプラットフォーム上でライブコマースを実施したり、コンテンツマーケティングの一元管理や返信を行ったりできる。現時点ではWhatsAppビジネスアカウントやWeChat、Facebook Messenger、Instagram chat、SMS、Telegramなどに対応している。
SleekFlowはサブスクリプションと売上手数料を主な収益源としている。提携ブランドは美容、ファッション、小売などが中心で、コスメブランドNARS、アパレルブランドBossini、香港の物流ユニコーンLalamove、インテリア・雑貨Francfranc、宝飾品ブランド周大福などがすでにSleekFlowのプラットフォームを利用している。
SleekFlowは世界に60人以上のスタッフを抱える。ヘンソンCEOはインペリアル・カレッジ・ロンドンを卒業後、匯豊銀行(HSBC)や大手国際会計事務所アーンスト・アンド・ヤングに勤務した経験を持つシリアルアントレプレナー。
(翻訳・畠中裕子)
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