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東京で増え続けるガチ中華。最近では競争が激化しており、筆者がブログでこの1年で紹介した店で、既に閉店した店舗も複数ある。他の店舗と差別化しようと日本では珍しい貴州料理や内モンゴル料理、桂林料理など地方都市出身のオーナーが郷土料理を出す店も現れている。これらの店は希少性があるのでシェフの変更などによる味の劣化がなければ今後も生き残れる可能性が高い。一方で池袋北口などに多い中国東北部の料理を出す店や、近年増えている火鍋の店などは差別化が難しい。幅広く集客するため「お得メニュー」を打ち出す火鍋店も増えており、身を削る戦いになってきた。
1000円中華食べ放題ランチで日本人も集客
今年の夏頃からぽつぽつと出始めたのがランチ限定の食べ放題を提供する店だ。四川火鍋の店「譚鴨血」上野店は6月に平日限定で1000円のランチバイキングを始めた。週替わりメニューが10種類以上食べ放題、デザートやフルーツ、コーヒーなどもついている。
高田馬場にある四川の串鍋店「小群肝串串香」も7月に同じくランチバイキングを始めた。こちらは90分980円で約10種類の中華料理が食べ放題だ。他にも池袋にある「破店」や「麻婆唐府」、「撒椒」などでは1000円前後の日替わりランチセットがあり、麻婆豆腐や麺などのメインメニューを頼むとじゃがいもの細切り炒めや味付きたまごなどのつまみメニューが食べ放題になる(麻婆唐府や撒椒では数年前から提供している)。
これらの店はいずれも雑居ビルに店を構えており、日本人は夜だと入りづらかったり、アラカルトでどんなメニューを頼んでいいのかわからなかったりするが、ランチだと日本人にも比較的食べやすいメニューが多く、食べ放題で好きなメニューを食べられるため、日本人客の開拓にもつながっていそうだ。
一人火鍋セットは中国人にも人気
火鍋店が提供するお得なランチセットも増えている。先に紹介した「譚鴨血」の新宿店では8月から事前予約、平日限定で看板メニューの鴨血やセンマイ、野菜など24種類の具材から12種類を選べる一人火鍋セットが1780円で提供されている。火鍋チェーン大手の「海底撈」も池袋、新宿、上野、海浜幕張店などで同じようなセットを平日に提供する(期間限定)。こちらは1485円で22種類の具材から10種から選べる。
火鍋はグループで食べに行くことが多く、1人あたりの予算は概ね4~5000円。だから1人で注文できて1500円程度で収まるセットはお値打ちで、中国のSNS「RED」でも「中国でも見たことないお得なセット!」というコメントが数多く投稿されていた。
火鍋店は価格競争に
こうしたランチのお得メニューを提供するのはほとんどが火鍋店だ。火鍋は夜に複数人で食べに行くことが多く、暑い時期や昼の時間帯は集客に苦労していると考えられる。海底撈や譚鴨血は新宿や池袋、上野など都内の中心エリアに何店舗も出店し、客を奪い合っている。さらにこうしたエリアでは食べ放題2980円~の「熊猫火鍋」など競合も多い。2019年頃から火鍋店が一気に増えたが、価格競争がヒートアップしており、これから脱落する店も出てきそうだ。
阿生:東京で中華を食べ歩く26歳会社員。早稲田大学在学中に上海・復旦大学に1年間留学し、現地中華にはまる。現在はIT企業に勤める傍ら都内に新しくオープンした中華を食べ歩いている。Twitter:iam_asheng
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