海外中古スマホ回収市場に商機を見出す「愛回収」の戦略

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スマホの生産台数は2015年以降、全世界で年産約15億台となっている。

そんななか、中古製品のリサイクル市場も存在感を示しているが、すでに現在の中国では中古スマホ市場が飽和状態を迎えつつある。O2Oリサイクルプラットフォーム「回收宝(Huishoubao)」をはじめ、「転転(Zhuanzhuan.com)」、「愛回収(Aihuishou)」はそれぞれ、アリババ(阿里巴巴)、テンセント(騰訊)、京東集団(JD.com)が出資している。他にもいくつもの企業が競争を激化させる中で、海外進出に乗り出し、より大きな市場を求める企業もある。

愛回収もその中の一社だ。2018年、同社はグローバル化に着手し、同年7月に1億5000万ドル(約165億円)の資金調達を行った。続いて、B2Bプラットフォームを通じた海外進出を主な戦略に据えた。

同社の海外事業部門バイスプレジデントを務める郭経緯氏は、「当社が選んだのは玉石混在の業界だ。業界が分散するにつれて、プラットフォームの価値も高まる。それは海外も同じだ」と語る。

以下では郭経緯氏へのインタビューを掲載する。

ーー愛回収のこれまでの歩みについて教えてください。

郭氏:当社は2011年にECで中古スマホの引き取り事業を始めた。ユーザーがオンラインで引き取りを申し込んだ後、スマホを郵送してくる。製品は点検を経て買い取り額が提示され、下取り代金を支払う。2012年に新品購入時の下取りサービスを開始し、2014年に業界初の実店舗展開を開始した。2016年に電子製品回収プラットフォーム「愛機滙」を通じて、全国数十万店からの中古品回収システムを構築した。そして2018年に、中国国内初となるB2Bオークションプラットフォーム「拍機堂」を立ち上げ、現在利用者は売方買方の双方合わせて数万社に上っている。昨年の総取引額は30億元(約480億円)を超え、国内最大の中古スマホ取引業者になったと言える。

ーー愛回収の海外での状況はいかがですか。

郭氏:昨年末、香港に事務所を設立し、約30人のチームで海外業務を進めている。海外進出した中国のリサイクル企業で、海外拠点にこれほどの人数を抱えているのは多分我々だけだろう。現在の事業成績は月50~80%の成長を示している。

B2B事業による収益は主にサービス料によるものだ。当社は製品の品質検査とランク分けを代行し、売方と買方にギャランティを提供している。我々が解決すべき課題は、市場で取引上の明確な基準が定まっていないことや信用問題、そしてチャネル開拓能力などだ。

中古スマホのビジネスは商品があって初めて成り立つものだ。一定の取引規模があるところならプラットフォームが成り立つ。商品があるところなら我々はどこでも進出するつもりだ。現在、南アフリカ以外にブラジル、ロシア、インドに進出している。

ーー海外の中古スマホ取引市場はいかがですか。

郭氏:全世界で年間約15億台ものスマホが製造されており、そのうち1/4が中国で売れている。中古製品に関しては、中国よりも海外により大きな市場がある。海外の中古品市場はこの5~6年の間に形成されてきた。

現在、海外の主な中古スマホ取引市場は、香港、マイアミ、ドバイの3都市だ。まずはこの3都市に注力する。また、海外のスマホ市場は通信事業者間の閉じた市場と一般に開かれた市場に分かれる。先進国の中でも特に英国や米国、日本、韓国などはいずれも前者で、ユーザーが中古スマホを処分する際には、通信事業者に引き渡す。そのため、こうした市場では、通信事業者から中古製品を引き取っている。

ーー国内のO2Oモデルを海外でも取り入れますか。

郭氏:将来的には取り入れたい。それを実現する上での課題は、資金と運営チームの能力だ。最も肝心なのは、運営、品質検査、グローバルなオペレーション能力だ。我々はすでに中国国内で経験を積んでいる」

ーー愛回収と越境ECにはどんな接点がありますか。

郭氏:中国国内で我々は中古の良品を取扱う『小愛優品』を運営しており、今後は海外とも取引を行う中古商品プラットフォームの立ち上げも検討している、越境ECとの提携も前向きに考えている。
(翻訳・虎野)

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