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いまや中国は世界最大のコスメ市場となった。2018年に市場規模は5000億元(約8兆円)に達し、全体の成長率は13%、中には30~40%の成長を遂げているカテゴリもある。
2013年7月に誕生した「PANDAW(潘達)」は中国発のコスメブランドだ。一番人気は目元パック「粧可貼(Black Aid Eye Mask)」で、2018年には同商品だけで2億元(約32億円)近くを売り上げた。創業者のJessica氏によると、2019年はフェイシャルケアもラインナップに加え、売上高6億元(約96億円)を見込んでいる。
2年連続で売上高成長率300%を成し遂げられたのは、ファン獲得、サプライチェーン、ユーザーニーズへの素早いレスポンスという3つの分野で効率アップを図ったからだと、Jessica氏は明かす。
ソーシャルコマースでファンを獲得
Jessica氏によれば、現在コスメブランドはソーシャルコマースでファンを獲得する段階を迎えているという。
PANDAWは2014年からソーシャルコマースにフォーカスし、WeChat(微信)エコシステム内に相次いで公式アカウントや旗艦店を開設したほか、数多くのファンコミュニティを運営している。2017年にはソーシャルEC「小紅書(RED)」に進出、その後もTikTokなど圧倒的なユーザー数を誇るアプリを活用してきた。現在、同ブランドのフォロワー数は50万人、購入者数は120万人に達している。
差別化とサプライチェーン
PANDAWがまずアプローチしたのは目元ケア市場だ。スマートフォンの普及により酷使される目元は急成長分野となった。目元ケア市場は2018年に前年比25%増の140億元(約2230億円)規模となり、3年後には500億元(約8000億円)規模に達するとみられる。しかしこの分野のトップブランドは少ない。
ソーシャルコマースを展開するからには、ソーシャル性の高い商品が必要だ。PANDAWは柄入りの目元パック「粧可貼」をリリースした。夜更かしのシーンにフォーカスし、ゲーム好きの18~24歳の学生、ドラマにはまっている25~28歳のOL、0~5歳の子どもを持つ母親がターゲットだ。この商品の最大の特徴はメークした上からでも使える点で、美容成分を効果的に肌の奥まで届ける日本製の医療用シートを採用している。
また同ブランドは、世界44の国と地域にまたがるサプライチェーンを構築、米環境保護団体エンバイロンメンタル・ワーキング・グループ(EWG)による安全評価を基準として、世界のトップブランドのOEM工場をカバーしている。フェースパックの場合、日本の工場で作られたシートやフランスから輸入したマイクロカプセルを、中国で製品にするというように、グローバルなサプライチェーンにより効率のよい協業を実現している。
ユーザーデータに基づく商品開発
PANDAWの商品はほかのコスメブランドとは異なり、ユーザーニーズをしっかりくみ取った上で開発される。同社はデータ分析システム「PANDAI」を独自に開発、バックグラウンドで複数プラットフォームのフォロワーデータを集約して、ユーザーニーズの分析と抽出をシステムが自動で行ってくれる。PANDAWはそのニーズに基づいて新商品を開発し、プロモーションするのだ。
さらに新商品を開発するにあたり、フォロワーによる人気投票を採用している。今年、PANDAWがユーザーニーズに基づいて開発した65種類の商品を毎週1種類ずつリリースし、フォロワー投票で人気の高い上位12種類の商品を主力商品とする。その後、複数のプラットフォームでの反応を見て、最終的に6種類のグランプリ賞品を選出し、長期的にプロモーションしていくという。
このような運営モデルでは、新商品を本格的にプロモーションする前にロイヤルティーの高いファンを一定数獲得できるという利点がある。Jessica氏によれば、新商品のコストや利益、在庫、資金効率などの指標において明らかな向上が見られたという。
Jessica氏は、中国が非常にポテンシャルの高い市場であると考えている。「中国のコスメ市場はロレアルグループを少なくとも5つ受け入れられるだけの規模を持っている。そしてPANDAWがそのうちの1つになれると、私は確信している」
(翻訳・畠中裕子)
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