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都内でも有数のガチ中華密集地域・高田馬場。周辺に語学学校が多く、湖南料理や内モンゴル料理、東北料理に中国スイーツなど中華料理のバリエーションの広さもさることながら、中国人が生活楽しむための娯楽店も増えている。中国人が経営する中国人向けのフォトスタジオもその一つ。今年スタジオをオープンした柏木さんに話を聞いた。
柏木さんは上海出身で、日本の永住権を取得済みの33歳。今年3月にフォトスタジオや動画制作、SNSアカウント運営を行う「ミラーリング」を創業した。柏木さんによるとメイン事業は中華料理店や観光スポット向けの動画制作で、フォトスタジオは撮影の機材を活かしてサブ的に行なっている。
「日本で中国人が経営するフォトスタジオは珍しいと思います。フォトスタジオによる儲けはほとんど出ないですが、写真撮影を通して会社のことを知ってもらえればと思っています。またメディア系の事業をする会社なので、会社でフォトスタジオを持って中国人のインフルエンサーを発掘したいという思いもあります」と柏木さんは話す。
メイク、衣装レンタル、撮影で1万6000円~
気になる撮影料金はメイク、衣装のレンタル、撮影、加工、データ化まで含めて1万6000円から。衣装はカジュアルなドレスから、漢服や中国の少数民族をイメージしたものまで20種類ほどある。写真は数百枚撮るが、そこから加工、データ化できるのは9枚までだ(価格によって変わる)。理由はWeChatのモーメンツ(朋友圈:LINEのタイムライン[現VOOM]やFacebookのようなSNS機能)に一度に投稿できる写真の枚数が9枚だからだという。柏木さんは「中国人の若者は誕生日やカップルの記念日などでも気軽にフォトスタジオで写真撮影をしますが、多くがWeChatのモーメンツに載せるためです。高田馬場などで留学している10~20代の若い中国人が写真を撮りに来てくれます。彼女らがWeChatに写真を載せてくれるのでそこから口コミでフォトスタジオの存在が広がっていくんです」と話す。
筆者も中国・四川に行った際に観光地のフォトスタジオで川劇(四川オペラ)の写真を撮り、すぐにWeChatのモーメンツに投稿したので、SNS映えする写真を撮りたくなる気持ちは理解できる。今回も撮ってもらおうか悩んだが、自分が着たい衣装が見つからず諦めた。
柏木さんによると中国でも大都市圏では安くても1万円はするため、日本で1万6000円という価格は比較的リーズナブルだそうで、毎月20件ほどの予約があり、留学生が長期休みに入る期間は予約数が増えるそうだ。学生の多い高田馬場にスタジオを開設したが、動画制作の仕事が増え現在のオフィスでは手狭になったため、近く日暮里のより広いスタジオに移転する予定だという。衣装も中国の明代スタイルや漢服などを現在輸入中で、今後選択肢が増えていくと話してくれた。
日本で暮らす中国人をターゲットにしているサービスのようだが、コロナ禍で中国に渡航することができない今、こういったフォトスタジオで漢服を着てSNS映えする写真を撮るだけで気軽に中国の観光地で写真を撮るような気分を味わえるので、中華圏文化が恋しい日本人にとってもいいサービスなのかもしれない。
阿生:東京で中華を食べ歩く26歳会社員。早稲田大学在学中に上海・復旦大学に1年間留学し、現地中華にはまる。現在はIT企業に勤める傍ら都内に新しくオープンした中華を食べ歩いている。Twitter:iam_asheng
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