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スマホゲームの開発を手掛ける「代碼乾坤科技(Code View Technology)」がシリーズAで1億元(約16億円)を調達し、評価額は5億元(約80億円)となった。リードインベスターは「愉悦資本(JOY CAPITAL)」で、コ・インベスターは「北極光創投(northern light VENTURE CAPITAL)」、「真格基金(ZhenFund)」。
同社の設立は2017年で、カードバトルゲーム「ボクはMT」を世に送り出した「LOCOJOY GAMES(卓越游戯)」の創業者・邢山虎氏が興した2社目の企業だ。北京本社以外に米国にも拠点を持ち、約150人の従業員を抱える。
同社パートナーの姚光石氏によると、現在のゲーム業界が抱える問題は、ゲーム製品の機能・品質・完成度が進化したために開発コストが数倍にも跳ね上がった一方で、プレイ方法は旧態依然としており、内容もとくに目新しいものが見当たらず、似たり寄ったりという点だ。
そこで、同社はゲーム開発への参加のハードルを下げようと試みた。ゲームデザインプラットフォーム「重啓世界」を開放し、一般のプレーヤーにまで開発の門戸を開いたのだ。
重啓世界のウリの一つは、3D物理演算エンジンを導入しており、シンプルなアイディアも成果物として具現化できる点だ。こうした物理演算エンジン技術は、中国国内では未開拓の分野だ。
物理演算エンジンとは、簡単に言うと、コンピューター内にリアルワールドを構築し、例えばその中で車が衝突すればその車はひっくり返り、爆弾が爆発すれば、その爆発位置によって異なるエフェクトが現われるというものだ。これによって、美術、プログラム、モデリング、レンダリングなどにかかる人的コストも時間も圧縮できる。ゲーム開発の専門人材でなくても、数時間ほどでオリジナルのスマホゲームが制作できるということだ。
PC版の重啓世界では、楕円形・三角形・四角形など9種類の基礎モジュールが使える。それらをレゴブロックのように組み合わせて、戦車・動物・建築物などの立体物を自由に制作することができる。単体を完成させるのにかかる時間は2~4時間ほどだという。
こうして制作した立体物には、力学的設定を追加できる。たとえば球体が他の物体に衝突すると、現実世界と同じような力学的反応が生じ、衝突された物体は倒れたり、飛ばされたり、飛び散ったりする。こうした動作は、開発者が設計することなく自動で生成される。
大まかに計算すると、重啓世界を使えば、従来なら10数人のチームで10数日かけて完成する作業を、わずか1~3人のチームで1~2日のうちに完成できるようになる。生産効率は50倍以上だ。
重啓世界は現在、3000種以上の技術インターフェースを提供しており、カードゲームからMMO(大規模多人数参加型オンラインゲーム)、アクション、アドベンチャー、ドラマキャラなど多ジャンルのゲーム開発に対応する。美術素材は2500件登録されているが、将来的には30万件を目指している。
UGC(ユーザー生成コンテンツ)によるコンテンツエコシステムの構築例は、TikTok(抖音)が分かりやすい。一般ユーザーが簡単に質の高い動画を制作し、それを公開できるツールやプラットフォームを提供することで自動的にコンテンツが蓄積される。そのゲーム版を試みているのが重啓世界だと言える。
ユーザーはPCでゲームを制作し、それを自由価格でプラットフォーム上に公開する(もちろん無料でもよい)。戦車や武器などのパーツを販売することも可能で、ユーザー間で自由な取引を行える。重啓世界では5月20日から初のデザインコンペも開催し、総計300万元(約4800万円)の賞金をクリエイターに提供する。
無論、ゲーム開発はTikTokでの動画制作のように容易ではない。開発に携わるユーザー数も、生成されるコンテンツ数も、その商業価値も未知数だ。また、動画コンテンツのように成熟した審査体制を築けるかどうかもわからない。
重啓世界は5月9日に正式ローンチされたばかりだが、まだユーザー招待制で内部テストを行っている段階だ。なお、プラットフォームの基本機能に関しては、永久に無料で開放していく方針だという。
(翻訳・愛玉)
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