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SF小説に登場するロボット料理人が現実を帯びてきた。
2018年末、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが宅配ピザの「Zume Pizza」に3億7500万ドル(約405億円)出資した。時価総額15億ドル(約1620億円)でユニコーン企業の仲間入りを果たした同社のセールスポイントは、ロボットがつくるピザである。また火鍋チェーンの「海底撈(ハイディーラオ)」は、ロボットが盛り付けや配膳、皿洗い等をするスマート火鍋店を1億5000万元(約23億4000万円)かけてオープンした。今年3月に台湾茶スタンドの「happylemon(快楽檸檬)」がアリババ系列のO2Oサービス「口碑(koubei)」と提携して立ち上げた第1号スマート店舗では、ロボットアームがミルクティーを作る。
いまやロボットによる飲食店の自動化がトレンドになっている。
ドリンクスタンド「茶里小怪獣(TEA MONSTERS)」が打ち出す「無人ミルクティースタンド」では、全長180センチメートルの6軸ロボットを配備して、注文から製造、受け渡しまでの全プロセスをオートメーション化した。ドリンクを作る様子をガラス越しにみることもできる。
2019年1月に上海で行ったテスト営業では、ロボットが1日17時間の稼働でミルクティー約200杯をつくり、2週間で2000を超えるオーダーを受けた。
同社は、自動化とデジタル化で品質とコストパフォーマンスを上げることに成功。今年の9月には正式稼働する予定だ。
ドリンクスタンドは、規模感と成長スピードが重要
茶里小怪獣は、これまでのドリンクスタンドをアップグレードしたものだ。
ここ数年のうちにティードリンク市場で「喜茶(HEY TEA)」、「奈雪の茶」などのスター企業があらわれたのは、投資マネーの動きと深く関係している。分析すると次のことがみえてきた。
■ティードリンク市場は900億元(約1兆4000億円)と大きく、成長が速い。「美団点評(Meituan Dianping)」レポートによれば、2018年の第3四半期の時点で、中国のティードリンクスタンドは41万店を超え、1年間で74%の急成長ぶり
■ティードリンクスタンドは参入ハードルが低く、商品のコモディティ化により競争が激化
■店舗運営は手作業が多く、品質を維持する為の従業員研修や商品管理の負担が大きい
茶里小怪獣は米スターバックスの紅茶版というより「1点点(A Little Tea)」、「Coco」、happylemonのようなブランドをベンチマークし、客単価7~22元(約110~340円)のミドル・ハイエンド層を狙う。
happylemonは中国本土で1000店超、Cocoは3000店を超えているという。しかし、全国のティードリンクスタンド41万店舗に比べてブランド系列店はまだ少なく、膨大な数の独立系ドリンクスタンドがブランドチェーンに加盟する可能性があるほか、三級・四級都市での成長も大いに期待できる。
自動化とデジタル化でドリンクスタンドを進化させる
自動化やデジタル化といえば、これまでは産業向けのイメージだったが、効率化・低コスト化は人々の生活分野においても需要がある。ホテルや飲食業界では、同じ内容を繰り返し行う単純作業や重労働をロボットが代替しておこなうことにより、品質の標準化や24時間営業の実現が可能だ。
しかし、ロボット導入は運営コストに見合うだろうか。
ドリンクチェーン店を展開する1点点のケースでは、店舗賃料と人件費を除いた開店コストが約40万元(約620万円)、その後の運営におけるコスト配分は一般に店舗賃料5割、人件費が3割だ。
茶里小怪獣の試算では、無人ミルクティースタンドの場合、1坪当たりの売り上げが一般的なドリンクスタンドの6倍になり、2~4カ月間で投資回収できるとしている。つまり小型の無人ミルクティースタンドは賃料と人件費を圧縮できるため、運営コストをある程度抑えることができさえすれば、運営期間に比例してコスト面で有利になるということだ。
創業者兼CEOの王司嘉氏は自動化技術に長く携わっている。「上海冀晟自動化成套設備有限公司(Shanghai JiSheng Automatic Machinery Systems)」の副総経理を約10年つとめ、ABB、KUKA、ファナックなど産業用ロボット企業との関係は10年を超える。
(翻訳:貴美華)
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