バイトダンス、「虎撲(HUPU)」へ出資 スポーツ分野を強化

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短編動画アプリTikTokなどを運営する「バイトダンス(字節跳動)」が、スポーツ専門ポータルサイトなどを運営する「虎撲体育(HUPU Sports Media)」に12億6000万元(約190億円)を出資し、同社株式の30%を取得した。両社は今後、コンテンツの共有やコンテンツ制作者との連携サービスで全面的に協力していく。

虎撲によると、同社は現在、単独でのIPO(新規株式公開)を目指している。また、CEOの程杭氏をはじめとした経営陣が引き続き実質的支配者となる。

虎撲は2004年1月、程杭CEOがシカゴで創設した「hoopCHINA籠球論壇」が前身。バスケットボール関連のBBS運営を皮切りに、15年間にわたって、ポータルサイト、Eコマース、オフラインイベント、ゲーム、基金などへ運営範囲を広げ、スポーツ分野で一定の影響力を持つプラットフォームへと成長した。

スポーツ関連コンテンツを手がける「懶熊体育(Lanxiong Sports)」の報道によると、虎撲の単独上場について、バイトダンスをはじめとした株主は同意済みだという。

虎撲への投資を決めた世界最大級ユニコーンのバイトダンス(図虫提供)

虎撲は2017年3月に一度、上場を断念した経緯がある。同年、同社の純利益は38.89%の大幅減となった。しかし、今年3月になって再び中国証券監督管理委員会(CSRC)に上場を申請している。

コンテンツの拡充と自社傘下のコミュニティ構築を目指すバイトダンスにとっては、虎撲は絶好の投資対象だ。バイトダンスはユーザーデータを活かした新事業の開拓に秀でており、すでに傘下のニュースアプリ「今日頭条(Toutiao)」でスポーツ関連のUGC(ユーザー生成コンテンツ)を数多く蓄積している。2018年9月時点で、ユーザー17万人がテキスト、画像、動画など累計約300万件のコンテンツを投稿しており、スポーツカテゴリの人気に手ごたえを掴んでいる。

また、全世界で月間アクティブユーザー数5億人を抱えるTikTokでも、スポーツ関連コンテンツをグローバル展開させている。昨年11月末には米プロバスケットボールリーグNBAと長期的提携関係を結んだと発表。NBAの短編動画コンテンツを、TikTokや今日頭条などバイトダンス傘下の各モバイルプラットフォームに提供している。世界中のユーザーが、レギュラーシーズンからプレーオフ、ファイナルまでNBA全シーズンのハイライトシーンや、舞台裏の秘蔵映像、ニュースを視聴できるようになった。

著作権も含めたスポーツ関連の豊富なリソースを有する虎撲も、同様にバイトダンスとの提携関係をより深めていくことになるだろう。バイトダンスにとっては、虎撲を取り込むことでコンテンツを補強し、情報メディアをSNSに転換していくメリットが見込める。

「資金調達の冬」が到来したといわれる中国のテック業界だが、虎撲は堅実に評価額を上げ続けている。バイトダンスの持ち株比率から計算すると、虎撲の評価額は現在、77億元(約1200億円)を突破している。前回の資金調達時に約50億元(約780億円)だったことを鑑みれば、過去1年で20億元(約300億円)以上も評価額を伸ばしたことになる。

コンサル機関「品途智庫(PINTU360)」の「2018中国体育産業投資データ報告」によると、2025年までに中国のスポーツ市場は7兆元(約109兆円)規模に達する。2020年の北京冬季五輪、2023年のAFCアジア杯を控え、急成長期に入っているのだ。当然、BAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)を筆頭に、大手テック企業各社も同市場に熱い視線を注ぐ。BATと比較してコンテンツの蓄積で若干の遅れをとるバイトダンスにとっても、スポーツ系コンテンツは理想的な切り口の一つだろう。
(翻訳・愛玉)

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