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自動車製造業界にとって不安定で苦しい1年だった2022年が終わり、新興電気自動車(EV)メーカー「蔚来汽車(NIO)」の李斌董事長兼CEOは新年の初日に全社員へ向けてやや重いトーンのメッセージを送った。同社は昨年、サプライチェーンの不備と部品の品質問題によって生産停止と減産を繰り返し、納期に遅れが生じていた。
昨年のコロナ禍で同社は少なくとも2度にわたり工場の稼働を停止し、サプライチェーンのひっ迫が工場の生産能力にも影響した。それでも同社の業績は悪くなかったことを李CEOはまず認めている。
具体的な成果は、◇昨年の納車台数が前年比34%増の12万2486台◇第2世代プラットフォーム「NT 2.0」をベースに開発したセダン「ET7」「ET5」およびSUV「ES7」の3車種を納車◇「F2工場」の生産開始◇ラウンジ「NIO House」や電池交換ステーション、サービスセンターなどのインフラ建設をほぼ計画通り達成◇製品発表会「NIO Berlin」の開催と欧州5カ国での体制構築◇第3世代プラットフォーム「NT 3.0」の開発着手◇イノベーション事業部の業務推進◇香港とシンガポールでの株式公開となる。
しかし李CEOは成果に触れた後、数万人の従業員に対して「同業の数社は2022年に我々よりも良い業績をあげた」と危機感を伝えた。同社が至らなかった点として以下の8つを挙げている。
◇納車台数の伸びが中国スマートEV市場全体の成長率を下回った。◇不安定な供給に対して、他社ほどの即応性と効率性が無かった。◇不安定な需要に対して、適時の調整ができず不要な損失を生んだ。◇新車のソフトウエア・ハードウエア品質問題が製品の評判とイメージに影響を及ぼした。◇試験車両の事故やデータ盗難事件が内部管理を強化する必要性を露呈させた。◇ユーザー満足度のフィードバックシステムを確立したが、問題解決の速さがユーザーの期待する水準を大きく下回った。◇組織とチームがこの1年で急拡大し過ぎ、社内コミュニケーションの効率向上が必要となった。◇デジタル管理システムが業務の新しい需要にうまく対応できず、業務発展のボトルネックになった。
挑戦はまだ続いている。李CEOは社内向けメッセージで「コロナ禍になって経済成長と消費者信頼感の回復に時間がかかり、特にハイエンドモデルが影響を受けている。市場競争はますます激しくなり、製品と技術のコモディティ化が進む中、確かな競争優位を得るのは難しくなっている」と警告した。
市場のグローバル化については「反グローバリズムの流れは覆らない可能性があり、グローバル市場に参入する過程も困難になる」との考えを明らかにした。
蔚来汽車の秦力洪総裁は毎週平均200〜300人に上る新入社員に歓迎のメッセージを送っている。同社は「小鵬汽車(Xpeng Motors)」と「理想汽車(Li Auto)」が新卒採用を減らした時にも多くの人材を迎え入れ、社員はすでに3万人を超えたという。
李CEOは組織が急拡大する中で明らかになった問題にも気づいており、経費削減とチーム簡素化を検討。「今年は業務が大きく増えても、会社のリソース投入は少ししか増やさない。特に非効率な組織、チーム、工程、プロジェクトは全面的に整理して最適化を進め、社内の潜在力を掘り起こさなければならない」としている。
市場競争がかつてないほど激しくなる中、新興自動車メーカーにとって2023年は次のステージに進めるかどうかを決める極めて重要な1年となる見通しだ。李CEOによると、蔚来汽車は、◇上半期にNT 2.0ベースの新車5車種を納車する◇NT 3.0の開発を本格化させる◇欧州市場のユーザー向けに納車とサービスを加速する計画だという。
李CEOは「スマートEVの競争は予選の終盤に入り、決勝戦に進出する権利を得るためにはさらに良いパフォーマンスを見せなければならない」としている。
(翻訳・大谷晶洋)
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