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米議会下院のエネルギー・商業委員会は1月30日、動画投稿アプリ「TikTok」の周受資CEOが3月23日の公聴会で証言することに同意したと発表した。プライバシーやデータセキュリティ、コンテンツが未成年に与える影響、中国政府との関係などがテーマになる。
TikTokのCEOが米議会で証言するのは今回が初めて。周CEOは公聴会への参加を自ら志願し、公聴会で唯一の証人となる。
これに先立つ1月27日、米下院外交委員会のマコール委員長(共和党)は、「国家安全保障」の観点から米国でのTikTokの使用を禁止する法案を2月に採決する考えを示した。成立すれば、米国のモバイルユーザーはTikTokアプリをダウンロードできなくなる。
バイデン大統領も昨年12月、連邦政府職員が政府所有の端末でTikTokの使用やダウンロードを禁止する法案に署名した。またすでに25以上の州が州政府の端末でTikTokを使用することを禁じている。TikTokとその親会社バイトダンスを通じて中国当局に米国ユーザーの個人情報が流出しているとの懸念が理由だ。
運命の岐路
米国によるTikTok締め出しの発端は、トランプ政権時代の2020年にさかのぼる。当時、トランプ大統領はあらゆる手段を駆使して米国から同アプリを排除しようと試みたが、米裁判所から利用禁止措置の差し止めを命じられたことで失敗に終わっている。
2022年はTikTokにとって比較的平穏な1年だった。海外で最も影響力のある中国アプリとして、TikTokのユーザー数は急速な増加を続け、市場調査会社Apptopiaによると2022年のアプリダウンロード数で世界トップに立った。
TikTokの運営会社バイトダンスはTikTokの月間アクティブユーザー(MAU)を公表していないものの、ある調査機関は2022年末までに月間アクティブユーザーが15億人に達したと推測している。
とはいえ地政学的な不安は一向に解消されておらず、2023年が明けてからわずか1カ月で、TikTokはまたも大きな危機に直面することになった。
「このアプリが、中国政府が情報を抜き取るバックドア(裏口)になるのではないかと懸念している」とマコール委員長は語る。ファイアウォールだけでは米国ユーザーを十分に保護できるとは限らないため、委員会はTikTokを禁止する複数の提案を組み合わせた新しい法案の作成に取り組んでおり、禁止措置を実施する上で起こりうる憲法上の問題にも対処するという。
米国には1億人以上のTikTokユーザーがいる。バイトダンスはこれまで、同アプリが米国民の個人データを不正に利用することはないと訴えてきた。中国政府も「中国がTikTokを利用して米国の国家安全保障を脅かしている」との主張に繰り返し反論している。
米国で存続できるのか、世界におけるビジネス展開はどうなるのか、TikTokは今まさに岐路に立たされている。これまで厳しい市場競争を勝ち抜いてきたバイトダンスだが、その結末が明らかになるのはまだ先のことだろう。
(翻訳・畠中裕子)
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