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中国IT大手アリババグループが23日、2022年10〜12月期決算を発表した。売上高は前年同期比2%増の2477億6000万元(約4兆8500億円)で、市場予想の2458億8000万元(約4兆8100億円)を上回った。調整後当期純利益は同12%増の499億3000万元(約9800億円)。発表後、アリババの株価は米国市場で取引開始前に一時6%以上値上がりした。
売上高で1699億9000万元(約3兆3200億円)を占めたのが国内コマース事業で、前年同期から1%減少した。そのうち自社運営の事業(生鮮スーパー「盒馬鮮生(Freshippo)」、オンライン医療サービス「阿里健康(Alibaba Health)」、傘下スーパー「高鑫零售(Sun Art Retail)」 、傘下百貨店「銀泰百貨(Intime Retail)」、ネットスーパー「天猫超市(Tmall Supermarket)」などを含む)の売上高が同10%増の744億2000万元(約1兆4500億円)、卸売事業(「1688.com」)が横ばいの42億2000万元(約820億円)だった。
国内コマース事業は今四半期、複合的な要素からダメージを受けた。格安ECプラットフォームの「拼多多(Pinduoduo)」や動画共有アプリを介したコンテンツコマースを展開する「抖音電商(Douyin EC)」など新興プレーヤーからの圧力や、再燃したコロナ禍の影響で消費需要が低迷したことなどが影響した。
そのほか、クラウド事業の売上高は前年同期比3%増の201億7900万元(約3900億円)、生活関連サービス(フードデリバリー「餓了麼(Ele.me)」、地図サービス「高徳地図(Autonavi)」、オンライン旅行サービス「飛猪(Fliggy)」など)の売上高は同6%増の131億6400万元(約2600億円)、物流事業「菜鳥網絡(Cainiao Network)」の売上高は同27%増の165億5300万元(約3200億円)だった。
海外事業は好調で、売上高の伸び幅も大きく改善した。売上高は前年同期比18%増の194億6500万元(約3800億円)で、そのうち小売事業が同26%増の146億4400万元(約2900億円)となり、グループ全体の売上高の6%を占めた。卸売事業は横ばいの48億210万元(約940億円)で、グループ全体の売上高の2%を占めた。
海外各国で展開するEコマース事業が好調
海外事業最大のコンシューマー向け越境コマース事業「アリエクスプレス(AliExpress、全球速売通)」のほか、各国で現地展開する「Lazada(東南アジア)」「Trendyol(トルコ)」「Daraz(南アジア)」が海外事業の業績に貢献した。
東南アジアを主戦場とするLazadaはアリババが海外事業で一貫して重視するECプラットフォームだ。アリババによると、付加価値サービスを増やし、運営効率を改善することでLazadaは昨年に引き続き注文ごとの損失率を引き下げた。東南アジア市場でのシェアも微増しており、ベトナムEコマース協会(VECOM)によると、同国市場におけるLazadaのシェアは22年に21.5%にまで拡大したという。
欧州事業の成長も注目に値する。とくにトルコで展開するTrendyolの伸びが目覚ましい。これまでTrendyolに関する情報はあまり公開されていなかったが、今回の決算書ではTrendyolの成長が主に地元密着型の生活関連サービス事業やEコマース事業の伸びによるものだと明かしている。
スペインでは昨年12月にECプラットフォーム「Miravia」を本格ローンチした。スペインのローカルブランドや欧州ブランドを主に取り扱うハイエンド寄りの位置付けで、現段階ではプラットフォーム側からオファーした業者が出店している。アリババのある海外スタッフによると、Miraviaのデイリーアクティブユーザー数や受注件数などの指標はいずれも当初の予想を超えた好成績だという。
グループの業績が全体的に好調だったのは、年間最大のセール「ダブルイレブン(双11)」やサッカーワールドカップカタール大会、ブラックフライデーなどのイベントが多かったことも影響しているだろう。しかし各国で消費が低迷する中、アリババが海外のデジタルコマース事業で実施した戦略転換が成果を出しはじめていることは否定できない。
(翻訳・山下にか)
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