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無人潜水機(UUV、水中ドローン)の開発メーカー「鰭源科技(QYSEA Technology)」は、2016年6月に深圳で設立された同分野のリーディングカンパニーだ。消費者用と業務(軽工業)用の両用途の製品を開発、生産、販売している。今年4月には消費者向け新商品「FIFISH V6」を海外市場で発表している。
FIFISH V6は遠隔操作型水中ドローン(ROV)で、販売価格は1万1999元(約18万7000円)から。最大水深100メートルまで潜水が可能で、最大4時間半の稼働が可能だ。FOV166度の超広角レンズやプロ仕様の補助光(照明)を搭載し、HDMI出力に対応している。
FIFISH V6の姿勢制御機能はあらゆるアングルでのホバリングを実現し、追跡撮影体験を向上させているほか、任意のアングルを維持したまま水平移動してスピンアウト撮影を行う。ローリング(左右回転)、ピッチング(前後傾斜)、平行移動と3種の運動に対応する。
鰭源科技の創業者兼CEOの張翀氏によると、プロペラの配置を平面ベクトルから空間ベクトルに移行したため、あらゆる姿勢と進路を制御できる水中ドローンが実現したという。ドローンの機動的な動きを可能にするとともに、水底の砂や石がプロペラに巻き上げられて撮影や進行の妨げになる現象を防止できるようになった。
鰭源科技の開発チームは、コア部品を自社生産でまかなえることや、中核技術に強みがある。前述の水中ホバリングなどは、姿勢の自動制御アルゴリズムや動力構造で高水準が求められる技術だ。
FIFISHはダイビング教育機関の世界最大手「PADI」と提携し、世界初の水中ライブストリーミングも実現した。既存の活用シナリオをスマート化するだけでなく、新たな活用シナリオも開拓しており、水面を移動して船舶や魚の養殖網をモニタリングするドローンや、魚釣りの体感を味わえるVRなどを企画しているという。
水中ドローンを消費者向け商品として販売するうえで、価格設定は重要だ。消費者向けドローンの中国市場での相場価格は1万元(約15万6000円)前後。FIFISH V6は主要部品の自社生産やサプライチェーンの調整によって、すでに前機種の半額近い額に抑えているが、次世代機種では5000~7000元(約7万8000~10万9000円)を目標としているという。
消費者向け市場では需要が完全に満たされていないため、新たな利用シーンや運用方法の開拓を行っている。業務向け市場では安定した需要があるものの、需要の限界も見えている状況だ。FIFISH V6は消費者向け商品だが、業務用途としても十分な性能を備えている。
同社はすでに欧米、アジア、豪州など59カ国で海外事業を展開しているが、今年からは中国国内市場を開拓していく。国内では消費者向けの娯楽用途の商品が主な市場となっている。業務用途としては、水質検査や水中船底清掃、導管の清掃、養殖業などに活用されているが、いずれもまだ黎明期にあると言える。
統計によると、水中ドローン市場は現在1000億元(約1兆6000億円)規模に達しており、うち軍事向けや企業向けが8割を占める。残り2割を占める消費者向けは今後5年間に、年2~3倍のペースで成長していくと見込まれる。
鰭源科技は2016年にエンジェルラウンドで1000万元(約1億6000万円)規模の資金調達を行ったほか、2017年7月にはプレシリーズAで1200万元(約1億9000万円)を調達し、現在はシリーズAでの調達を準備中だ。主要メンバーはファーウェイ(華為技術)、フォックスコン(富士康科技集団)、マイクロソフト、世界大手のドローンメーカーDJI(大疆創新科技)などの出身者で占められ、従業員の7割は研究スタッフだ。(翻訳・愛玉)
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