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中国のサービスロボットメーカー「穿山甲機器人(Pangolin Robot、以下パンゴリン・ロボット)」が先月28日、製品発表会で最新版の接客ロボット、配膳ロボット、ホテル用サービスロボットを発表した。
パンゴリン・ロボットは2006年に設立され、12年から商用サービスロボットの開発を始めた。現在は主に展示会場や商業施設用の接客ロボットと、配膳やホテル内サービス、屋外無人配送に用いる配送ロボットの二大製品を手がけ、展示会、ニューリテール(新小売)、病院、政府機関、公共サービス、学校、飲食店やホテル、銀行などで稼働させている。同社は、中国国内では約200都市に、海外では日本、カナダ、インド、韓国、シンガポールなどでサービスを提供している。
パンゴリン・ロボットを創業した宋育剛CEOは発表会で、中国のサービスロボット市場が2021年から年平均成長率40%で推移すると仮定すれば、25年には984億元(約1兆9300億円)に達する可能性があると分析した。
新製品発表会で同社が発表したロボットは3種類ある。
1種類目は、第2世代配膳ロボットだ。同社最新のナビゲーション技術を搭載し、完全自動で走行する。歩行者流を回避する経路設定のアルゴリズムも搭載したため、行き交う人々を自動でよけて走るほか、幅45cmまでの狭い通路も通過可能だ。最新のサスペンションシステムによってスープなど難易度の高い料理も運べるようになったほか、最新のスケジューリングシステムによって、同一スペースで99台のロボットを同時稼働させられるようになった。
また、パンゴリン・ロボットはナビゲーションにLiDARとカメラを用いているため、ロボット誘導のためのQRコードを走行エリアに貼り付ける必要がなく、人の手間を減らしたことが海外市場で強みとなった。
この配送ロボットは3段トレイを搭載し、積載荷重は30キロで、一度に12皿の料理を運べる。3時間の充電で12時間稼働する。
2種類目は、第2世代配送ロボットだ。主にホテル内のデリバリーに用いられ、自らエレベーターで移動でき、荷台は完全に密閉できる仕様となっている。
最速で秒速2メートルでの移動が可能で、デュアルサスペンションを採用したことで最高3センチの段差も超えられ、積載荷重は100キロだ。
3種類目は、接客ロボット「Timo小魚」だ。専門的かつ豊富なナレッジベースを有し、145種類の言語を理解する。パンゴリン・ロボットは深層学習や自動音声認識(ASR)、ナレッジグラフなどAI関連の技術を独自に研究開発した。業界専門のソリューショプロバイダーとの提携を通じて、100以上のシナリオに対応可能な応用ソリューションと数百万規模のナレッジベースを開発し、ユーザーとのコミュニケーションの質を高めている。Timo小魚は話題のチャットボットChatGPTとも連携しており、よりスムーズな会話ができるようになった。
Timo小魚の販売価格は9999元(約19万6000円)で、国内外の類似製品よりはるかに安い。そのため海外市場も重要なターゲットにしている。
宋CEOは接客ロボットが新たなチャンスを切り開いてくれると考えている。接客ロボットにはハードウェアにかかるコストやソフトウェアの性能などが影響してきたが、対話型AIが大きく進化したことやロボット本体にかかるコストが下がり続けたことで、顧客によりよいUX(ユーザー体験)が提供できるようになった。
パンゴリン・ロボットは2万5000平方メートルもの自社工場を持っており、年3万台のロボットを生産できる。自社工場がコスト削減につながったとともに、製品供給を保証でき、製品の質をコントロールできるようになっている。
ソフトウェアに関しては汎用・業界用・企業用ナレッジグラフを駆使して、自然な対話体験を顧客に提供する。さらにAI企業との提携を強化することで汎用コーパスを拡充し、より「人間に近い」対話を成立させている。
パンゴリン・ロボットは6000社以上の顧客を抱え、66カ国に製品を輸出している。世界で累計数万台を売り上げてきた。
創業メンバーに関して、宋育剛氏は日本の電気通信大学の客員教授でもあり、ロボット業界で20年以上のキャリアを積んでいる。チーフサイエンティストの吉建民氏は中国科学技術大学および香港科技大学で博士号を取得した後、自動運転技術の開発に10年間従事してきた。共同創業者でCTOの丁勁松氏は電気通信大学で修士号を取得し、留学・就業を通じて日本に14年間滞在した。
(翻訳・山下にか)
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