TikTokなど大人気アプリが続出のバイトダンス社の管理方法とは

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「商品を開発するように企業を経営する」

張一鳴氏が記したこの言葉は、張氏と彼が興した企業「バイトダンス(字節跳動)」の関係性をよく表している。バイトダンスは、ショート動画共有アプリTikTok(抖音)の運営会社として知られる。

創業当初、バイトダンスがリリースしたニュースアプリ「今日頭条(Toutiao)」(日本版名「Topbuzz」))は話題となったが、バイトダンスという社名自体は知られていなかった。しかし、同社はその後、今日頭条からTikTok(抖音)、ショート動画アプリの「西瓜視頻(XiguaVideo)」(日本版名「BuzzVideo」)、「火山小視頻(Huoshan Short Video)」までヒットアプリを続々と世に送り出した。企業として「第二の成長期」にまで到達できた数少ない企業だと言える。張氏は、「バイトダンスのコアコンピタンスは自社商品であり、それら商品の背後には、当社の技術体制があり、さらにその背後には当社の組織と文化がある」と語り、そして「起業とは二つの商品を同時に作ることだ。一つはユーザーに提供するもの、もう一つは企業そのものだ。そしてCEOは企業という商品のプロダクトマネージャーだ」と続けた。後者の商品は製作が決して容易ではない。「バイトダンス」という商品が伸ばしているのはアクセス数だけでなく、収入や評価額、さらに組織規模も含まれ、従業員数は約5万人にまで拡大している。だが、多くの企業はチームを急速に拡張する際に、文化の希薄化や管理面での困難に直面する。

しかし、なぜ同社は急速な拡大を続けつつ、持続的な競争力を備えた商品をいくつも生み出すことができているのか?

その秘訣の一つは、メンバーが互いに率直に情報を公開し、それらを共有する姿勢だ。同社では張氏が何に忙しいのかを誰もがすぐに把握できる。全従業員がオフィスソフト「飛書(Fei Shu)」を通じて、張氏のOKR(目標と主要な成果)が何かを直接知ることができる。そして飛書では全従業員間で互いのOKRや基本情報、報告などを知ることができる。さらに、同社ではCEOとの面談や事業グループ間のの業務報告会が隔月で行われで、張氏はこれらの場で自身の未達事項も隠すことなく報告し、、どの事業部の成績に不満を感じているかも率直に述べる。また、社全体の重要な決定事項や戦略の方向性、直面している危機までを全て整理し、社内に対して説明するという。また、すべての従業員は直属の上司に申請すれば、主要な商品に関する全データを閲覧することができる。

同社ではOKRは特別な存在だ。それによって目標の管理ができるだけでなく、従業員間でコミュニケーションを図るツールにもなるからだ。彼らの間では常に互いのOKRが同期されており、彼らはCEOや上司に対してだけでなく、同僚たちと協力することを意識している。例えば、次月に計画されているあるプロジェクトでで、特定のチームによるサポートが必要な場合、プロジェクト責任者は該当するチームメンバーと直接連絡を取り、各関係者のOKRにその業務を加えるように依頼することができる。また、誰かが自身のある業務のOKRを変更すると、その業務に関連する同僚全員に変更が通知され、すぐに各人は自身のOKRを調整することができる。これにより、業務上のつながりは対上司だけでなく、同僚や他事業部のメンバーにまで広げることができ、幅広い協力関係を形成して業務効率を向上させることができる。

同社は海外でも事業を展開しているが、外国籍スタッフの管理について、「国によって人々の仕事の仕方や習慣が異なるため、社内管理に求められるコンセンサスを維持する点で困難に直面している」という。例えば、海外の職員からはメッセージの返信が遅れることが頻繁にある。しかし、海外では中国のように祖父母が子どもの面倒を見るという習慣がないため、限られた時間の中で仕事と子育てを両立している従業員たちのために、同社は習慣の違いを受け入れるように努めている。業務を展開する国が増えるほど、従業員も多様化するため、「少数派も受け入れて、違いを尊重する」ことが求められる。

企業が採用する管理方式は、その企業の特色と密接に関係しており、また正しい選択は一つだけではない。商品を開発するように企業を経営するという冒頭の言葉は、筋道の通った考え方に基づいたシステムで企業を支え、前進させることであり、これこそ張氏の企業管理論の原点だと言える。
(翻訳・虎野)

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