ニトリが中国で苦戦する理由

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ニトリが中国で苦戦する理由

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インテリア小売大手ニトリホールディングスの中国法人は先日、上海で新たな経営戦略を発表し、2032年までに国内外の出店数を3000店舗にまで拡大するとした。海外事業で最重要視する中国市場に関しては、同年までに1000店舗を出店する計画だという。これは日本国内での出店数を上回る数だ。

日本を代表する小売企業として、ニトリは直近の2019年2月期まで32期連続で増収増益を達成している。リーズナブルな価格設定の家具小売企業としては競合のイケアが存在するものの、日本国内ではニトリが圧勝という状況だ。

低価格、頻繁な新商品の発表、ローカル市場を熟知した事業展開。この三つが、ニトリがこれまで打ちたててきた勝利の法則だ。とくにコストパフォーマンスは、サプライチェーンを独自に開拓してきた賜物といえる。世界各国にまたがる仕入れ体制、海外の製造拠点、物流の自社構築などでコスト圧縮を図り、利益の拡大を実現してきた。

徹底したローカル化戦略が裏目に

ニトリが中国に進出したのは2006年のことだ。当初はサプライチェーンの構築に専念し、実際に中国市場に出店したのは2014年になる。競合のイケアがその16年も前に中国へ出店していたことを鑑みると、その動きはかなり緩慢と言えるが、その背景にあるのは細部までじっくりと詰めていく日本式経営だと考えられる。

徹底したローカル化を目指すニトリは、オンラインショップをよく利用する中国の消費者に合わせて、まずは大手EC「天猫(Tmall)」へ出店した。その後、初の実店舗の出店先に武漢市を選ぶ。一級都市を中心に展開してきたイケアとの直接競争を避け、成長著しい内陸の地方都市から攻めたのだ。

ニトリの中国市場の店舗は3形態に分かれる。インテリア雑貨を主に扱う商業施設のテナント(2000~4000平方メートル規模)、家具を主に扱う大型店(7000平方メートル規模)、コンセプトストアの3種類だ。店舗には商品在庫は置かず、最寄りの物流倉庫から顧客の自宅へ直送する仕組みで物流の動線をスリム化し、コストを削減している。送料はもちろん無料だ。

このように、中国市場に合わせた独自の戦略を展開してきたニトリだが、その業績は思わしくない。店舗数ではイケアを上回るものの、売上高やブランド力では遠く及ばない状況だ。

次々と登場するライバル

ニトリは中国進出の時期を誤ったと言わざるを得ない。イケアや無印良品には早々に先を越されたばかりか、ライバルとなる現地企業も続々と伸びてきている。

現地ブランド「紅星美凱龍(RED STAR MACALLINE)」や「居然之家(Easyhome)」は、「ニューリテール(新小売)」の手法に長けたIT大手アリババグループが出資しており、急速にデジタル化を進めている。

セレクトショップ系のECもオンライン経由で消費者の心をつかんでいる。IT大手ネットイース(網易)傘下の「網易厳選(YEATION)」、アリババ傘下の「淘宝心選(Taobao Xinxuan)」、スマホ大手シャオミ(小米科技)傘下の「小米有品(Xiaomi Youpin)」といったブランドがこれに相当する。

中国のニトリは、出店効率を優先してショッピングモールにインテリア雑貨のテナントを数多く開業してきた。しかし、この分野には格安雑貨で人気の「名創優品(MINISO)」など圧倒的なブランド力を誇る強敵が多く、苦しい戦いを強いられている。

こうした中、イケアはすでに戦略転換に動いている。中国にデジタルイノベーションセンターを設立し、オンラインショップの出店などに注力している。こうした戦略が成功するかは別としても、中国事業の陰りを挽回する策は講じているのだ。

ニトリ不振の要因はほかにもある。ブランド名もその一つだ。「NITORI」「似鳥」など中国での表記が統一されておらず、消費者に混乱をもたらしているほか、そのブランド名から「インテリア」を連想させるのが難しい。

デザインやコンセプトも不在だ。イケアはライフスタイルや家に紐づけたブランドストーリーが確立している。無印良品も「ミニマム」「高品質」といったコンセプトを強く打ち出している。一方で、ニトリは「コストパフォーマンス」を追究する以外、とくに哲学を持っていないようだ。中国の若い消費者の購買欲をかき立てるデザイン性にも欠ける。

ニトリは2019年2月現在で中国に37店舗を出店している。「2032年までに1000店」の目標を達成するのは負担の大きいミッションだ。好調な国内事業からのキャッシュを存分に活用し、中国現地のIT大手と手を組んでオンライン事業を開拓できれば、あるいは活路が開けてくるかもしれない。
(翻訳・愛玉)

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