原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録
医師が医師になった後も継続して学び続けることは、医療の質を維持する上で重要だ。中国ではこのところ、医師を対象としたオンライン学習サービスが雨後の筍のように現れている。動画やライブ配信が主流で、中には個別の診療科目に特化したカリキュラムや、VR手術をライブ講義で提供する事業者などもある。
「微医滙(veehui.com)」もそのうちの一つだ。提供するコンテンツ自体は特筆すべきものではなく、基本的にオフラインで行われていた講座や学会、資格試験の類をまるごとオンラインに移行したものだ。共同創業者兼CEOの王建氏は、「一見して単純な事業スキームだが、医師向けの継続的な教育サービスはこれまで閉じられた業界であり、系統立てた教育体制を確立するのは決して容易ではなかった。これらを実現し、マネタイズするにはいくつかの課題がある。一つは医療リソースを統合すること、もう一つは良質なカリキュラムを蓄積することであり、これらをクリアした上で、さらに定着利用につながるユーザーグループの獲得も求められる」と説明する。
微医滙はまず、中華医学会(CMA)、中国医師協会(CMDA)などの医師会が主催する学会の動画配信からサービスを開始した。このモデルは、集客面で学会の出席者にターゲットを絞れるため、マーケティングに多くのリソースを割く必要がなく、また、各医師や医療機関との接続も容易になるため、それらの医師会との連携は効果的だった。
王CEOによると、受講者には、診療科目や属性に基づき適切なコンテンツが配信される。末端医療機関の医師にはより実践的な症例について、上層医療機関の医師向けには最先端の知識や診断の難しい疾患などについてのコンテンツが提供される。今後は蓄積した受講データを用いて、個別のレコメンデーション機能をより高めていく。
微医滙は現在、約1000の医療機関と提携し、約2万人の専門家が講義を行っている。学会関連の動画を含めると、すでに2万本以上の動画が配信されており、ほぼ全ての診療科目を網羅している。その総再生回数は1800万回に上り、累計100万人以上のユーザーが視聴した。ユーザーは現在、月5~6万人のペースで増加を続けている。また、地方の医療聯合体(地域の医療資源をとりまとめる組織)と提携し、共同で研修体制を築いている。
収益について、現段階ではコンテンツとユーザーの蓄積に注力しており、利益は有料講座からのみとなっている。将来的には広告や医療機関向けの有料オプションサービスなどを考えているという。
市場の展望について、王CEOは、「医学教育市場はすでに年100億元(約1600億円)規模にまで達しており、今後は『分級診療制度(上級医療機関での診察を希望する患者を分散させるために、症状の重さや治療の緊急度・難易度に応じて受診する医療機関を振り分ける制度)』の構築や人口の高齢化に伴ってさらに成長していく」と見込んでいる。
微医滙の運営元である「虎勢科技(Hu Shi technology)」の創業者・呂文虎氏は医師出身で、実際の医療経験も豊富な人物だ。共同創業者でCEOの王建氏は、大手IT企業で事業部マネージャーを務めた経験があり、特にモバイルインターネット分野に強い。中核メンバーはいずれもIT企業の出身者だ。
同社はこれまでにエンジェルラウンドで1500万元(約2億4000万円)を調達しており、現在はシリーズAで5000万元(約8兆円)の調達を目指している。
(翻訳・愛玉)
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録