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中国EC大手・京東(JDドットコム)傘下の工業用品ECプラットフォーム「京東工業品(JD MRO)」がこのほどB種優先株式によって3億ドル(約400億円)を調達したと発表した。アブダビの政府系ファンド「ムバダラ・インベストメント(Mubadala Investment Company)」と、同じくアブダビのテック企業「G42」傘下のファンド「42XFund」が出資を主導、英運用大手M&Gインベストメンツ、欧州系のBPEA EQTのほか既存株主のセコイア・キャピタル・チャイナ(紅杉資本中国基金)も出資した。今回調達した資金は産業サプライチェーン技術やソリューションの構築に充てるという。
中国と中東は近年関係を深めており、中東の政府系ファンドも中国市場に熱い視線を注いでいる。今回出資したムバダラ・インベストメントをはじめとする投資会社は中国オフィスの開設を急いでいるところだ。42XFundも上海市で投資専門の人材を雇用するという。同ファンドは京東工業品に出資する前に、TikTok運営のバイトダンス(字節跳動)の株式を1億ドル(約133億円)以上購入したとの噂もある。中東資本の投資ブームは今後も中国企業にとって追い風となるだろう。
京東は2019年3月、京東工業品の戦略を初めて公表し、20年5月にはシリーズAで2億3000万ドル(約300億円)を調達した。このとき京東工業品の評価額は20億ドル(約2600億円)を突破し、工業用品業界で最高額となった。現在では、商品、技術、サービス、ソリューションなどあらゆるシーンに対応している。従来の工業品ECと比べると、仕入れなどの単独のサービスを提供するだけでなく、デジタル技術の導入やサプライチェーンの最適化を通して、商品、仕入れ、フルフィルメント、運営など全面的なデジタル化を実現している。
京東工業品は2022年初めに、サプライチェーンの壁を打ち破る試みを開始した。「IPNP(工業履約神経科学項目)」と呼ばれたこのプロジェクトは、一連の技術サービスを通じ産業チェーンの川上、川下を「神経ネットワーク」のように緊密に連携させて産業サプライネットワークへと変え、産業界全体の効率を向上させることが狙いだ。
公式データによると、京東工業品はすでに大企業8000社以上にサービスを提供しており、そのうち米フォーチュン誌の世界企業番付「フォーチュン・グローバル500」にランクインしている企業が40%近く、同じく中国企業番付「中国500強企業」にランクインしている企業が50%近くを占めている。また、自動車、機械設備、電子製品の組み立てなどの分野における製造現場10万カ所以上にサービスを提供したほか、1万6000件以上の建築プロジェクトに関わったという。
京東工業品と並ぶ中国工業用品EC大手「震坤行(zkh.com)」は3月7日、ニューヨーク証券取引所への上場申請書を米国証券取引委員会(SEC)に提出した。ゴールドマンサックスと華興資本(China Renaissance)が主幹事を務める。申請手数料算定表によると調達額は2億ドル(約260億円)と見積もられている。震坤行も京東工業品と同じく工業品のB2Bプラットフォーム構築にとどまらず、業界のデジタル化サービスに力を入れている。
(翻訳・山口幸子)
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