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ドローンデータサービス企業「奇志科技」はこのほど、プレシリーズAで約1000万元(約1億6000万円)を調達した。インベスターは「美的集団(Midea Group)」の親会社である「美的控股(Midea Holdings)」。調達した資金は主に製品開発とサービスセンターの立ち上げに充てられる。
奇志科技はドローンの商用化に着目した陳俊宇氏と李秉駿氏により創設され、2016年にはドローン連携業務プラットフォーム「奇志動聯(MeshKit)」をローンチ。このMeshkitはドローンをベースとしたIoTソフトウェア兼データサービスプラットフォームであり、同社は昨年から建設工事の分野に目標を定め、まずは土木工事での測量に活用している。
建設工事では土地の測量と地形図作成が重要なプロセスになるという。正確な測量を行うことで、デベロッパーや施工業者は搬入土量を正確に計算し予測することができ、それが設計プランと建設費用予算を調整する際の指針となる。従来の測量方法には、データ収集期間の長さやデータ量の不足、検証の難しさ、そして計算結果の非正確性といった欠点があった。
人件費の高騰と競争激化に伴い、デジタル化による不動産・建設業界のアップグレードは必然的な流れだと陳氏は考える。ドローンのレベルや業界での活用条件も次第に成熟してきた。だが、ドローンをいかに効果的な形で工事管理と結びつけ、従来の建設作業の中に取り込んでいくか。この点は今も業界の課題だ。
MeshKitでは、ドローンの飛行経路設定から実際の航行まで全て自動化されており、収集データはコンピュータに直接同期される。そのデータをMeshKitクラウドにアップロードすると、ドローンの撮影した画像をもとに3Dモデルや点群データが速やかに生成され、搬入土量の計算が完了する。さらに、点群データは設計ソフトウェアに直接インポートできるため、設計者は測量結果に基づき、工事計画ごとの予算を複数作成できる。
同社は従来のRTK測量とドローンを使った測量の比較をたびたび実施している。敷地面積20万平方メートルの工事を例に挙げると、RTK測量にかかった期間は4~5日間だったのに対し、ドローンによる測量はわずか30分で終了し、コストも20分の1ほどで済んでいる。各検証点のデータを複数比較してみると、2種類の測量方法において、水平位置および標高点の誤差や搬入土量の計算結果の差異はごくわずかだったが、ドローンによる測量では地形の特徴をより多く収集したうえ、人為的なミスを回避できた。
総じていえば、ドローンの活用により初期の測量コストを削減し、事業開発効率を向上させることができるといえる。さらに、大量かつ正確なリアルタイムの土量データに基づいて、土木工事段階の大部分を占めるシステマチック・リスクを回避できており、デベロッパーに直接的な経済効果をもたらしている。
ドローンを利用した航空測量の実施は奇志科技が初めてではないが、これまでは複雑な作業手順や製造コストの高さが課題となってきた。そのようななか、特筆すべきは同社が低コスト・高精度の測量プログラムを高度に標準化した点だ。
奇志科技はこれまで不動産会社、建設会社、設計事務所などを含む複数の企業向けに数百件以上のサービスを提供している。なかでも「美的置業(Midea Real Estate Group)」とは正式に戦略提携を結んでおり、全国100件以上の建設事業でドローンによる土量計算・配分計画の作成を行う予定。
収益モデルにおいてはSaaSのサービス料をメインとし、機能に応じて年額10~50万元(約160~800万円)で設定しているほか、フルセットデータの収集や事後のデータ処理サービスも提供している。今年は3000~5000万元(約4億8000万~8億円)の売上高を見込んでいる。
陳氏によると、建設工事においてはいまだに十数年前の技術やプロセスが使用されているという。デジタル化さらにはドローンの活用が、保守的な建設業界の構造転換・高度化にとっての追い風となるのは間違いない。(翻訳・神部明果)
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