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中国の大手自動車メーカー長城汽車(Great Wall Motor)が25日、同国最大手のEVメーカーBYD(比亜迪)の一部車種について、排ガス基準を満たしていない疑いがあるとして関連当局に告発したとの声明を発表した。具体的には、BYDの人気ハイブリッド車種「秦PLUS DM-i」および「宋PLUS DM-i」が、燃料タンクとして非圧力式タンクを採用していることが原因で、車両からの蒸発汚染物質の排出量が環境基準に適合していない懸念があり、関連する資料を4月11日付で当局に提出したという。
これを受けて長城汽車、BYD両社の株価は急落。声明発表当日の取引終了時点で長城汽車の株価は6.17%下げ、時価総額は138億元(約2700億円)以上の減少、BYDの株価も2.41%下落し、時価総額は183億元(約3600億円)以上目減りした。
BYDも長城汽車の声明にすぐさま対応し、いかなる不当な競争行為にも断固反対すると表明するとともに、自社の製品と製品検査のいずれもが国家基準を満たしていると反論した。
BYDは声明の中で、長城汽車がテストに使用した車両は、厳密には国家基準を満たしていない状態だったとしている。国家基準では、テストに使用する車両は最低3000キロ以上の慣らし運転の実施が求められている。BYDによると、長城汽車が購入し、テストを実施したBYDの車両は走行距離がわずか450〜670キロだったという。
業界内では、長城汽車がこのタイミングで声明を発表したのには何らかの思惑があるとの声も少なくない。
長城汽車は先日、サブブランドの「哈弗(Haval)」から「梟龍(Fierce Dragon)」シリーズのSUV2車種を発表している。そのライバルと目されるBYD「宋Pro DM-i 冠軍版(BYD Song Pro DM-i Champion Edition)」が、まさに声明を発表した25日に発売予定だったのだ。
BYDブランディング・PR部門でGMを務める李雲飛氏は、中国版ツイッター微博(Weibo)で「誰かのともしびを吹き消しても、自分自身がより光り輝くわけではない!誰かの道をふさいでも、自分がより先へ進めるわけではない!」とコメントしている。
今回、長城汽車がターゲットにした2車種はBYDの売れ筋だ。
今年1〜4月、BYDの新エネルギー車累計販売台数は76万2371台で、そのうち秦PLUSが11万9190台、宋PLUSが13万3948台だった。この2車種で販売台数全体の3分の1近くを占めている。
(翻訳・山下にか)
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