家庭用蓄電装置「ZENDURE」、売上急増 欧州・北米中心に高まる需要受け

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家庭用蓄電池やエネルギー管理関連製品を手掛ける世界的ブランド「ZENDURE(征拓)」がこのほど、シリーズA++で約1億元(約19億円)を調達した。出資を主導したのは創新工場(Sinovation Ventures)で、既存株主の厚雪資本(Houxue Capital)、浙江星月実業(Zhejiang Xingyue Industry)も追加出資した。

ZENDUREは2017年に設立され、中国広東省・広州市と米国シリコンバレーの2カ所に本社を置く。主に家庭用蓄電池、屋外用ポータブル電源のソリューションを手がけ、一般家庭の日常用途やキャンピングカーなどのアウトドアシーンで用いられている。製品はすでに米国・カナダ・日本・英仏など欧州で販売され、「SuperBase V」と「Solar」の2つの製品シリーズをリリースしている。

SuperBase Vは、住宅全体で使えるよう初めて設計された2022年発売の家庭用蓄電システムだ。リリース直後に米クラウドファンディングサイトKickstarterで539万ドル(約7億5000万円)を集め、同サイトのハードウェアカテゴリーで歴代2位の記録を打ち立てた。

SuperBase Vは最上位スペックの場合、ベースユニット2台とサテライトバッテリー(拡張バッテリー)8台で構成され、総容量は64kWh。2台のベースユニットを接続すれば出力7600Wとなり、家庭用洗濯機や衣類乾燥機、冷蔵庫などが使える。さらに電気自動車(EV)用ソケットも備えており、停電などの緊急時に給電が可能だ。専用アプリを使って使用状況などを確認・管理できる。

ZENDURE提供

SuperBase Vは既存の多くのソーラーパネルと互換性があり、ソーラーパネルからの充電もできる。12〜150Vのさまざまなメーカーのソーラーパネルを組み込めるようになっている。

SolarFlowはベランダに設置可能な欧州市場向けの小型ソーラー蓄電システムで、今年4月に独ミュンヘンで発売された。設置も簡単で、屋根に設置するタイプと比べて設置費用は数千ユーロ(数十万〜百数十万円)も安く済む。夜間の電力使用量が2〜4kWhの家庭なら、年間で32%もの電気代が節約できるという。

SolarFlowは発売と同時にヒット商品となった。ZENDUREによると、発売から30日間で4100セット以上を受注して454万ユーロ(約7億円)を売り上げ、6月時点で1万台以上を納品したという。

ZENDURE提供

SuperBase V、SolarFlowのいずれも家庭用ポータブル蓄電装置市場に向けた主力製品だ。現在、エネルギーシフトの需要が爆発的に伸びていることで市場全体が成長を続けており、欧州や北米などZENDUREが進出している国でもこのことが見て取れる。東方証券(Orient Securities)の予測では、世界の家庭用蓄電装置の容量は2021〜2025年の期間に年平均成長率91%で伸び続け、25年に57.66GWhに達するという。

(翻訳・山下にか)

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