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次世代型太陽電池として期待されるペロブスカイト太陽電池を手がける中国企業「広東光晶能源(Photon Crystal Energy)」が、シリーズAで1億6000万元(約32億円)を調達した。出資を主導したのは中国国有企業結構調整基金(China Structural Reform Fund)傘下の国調戦新基金と啓明創投(Qiming Venture Partners)だ。
これまで最も多く用いられてきたシリコン太陽電池と異なり、フィルム型のペロブスカイト太陽電池は軽くて薄く、曲げることも可能なため、都市部など設置場所が劇的に広がる可能性がある。
光晶能源のコアメンバーは世界で最も早くペロブスカイトの実用化に着手した研究者たちだ。CEOの黄福志教授はサイエンスやネイチャーなど有名な科学誌で150本以上の論文を発表し、1万回以上も引用されてきた。2015年に中国に帰国してからは一貫してペロブスカイト太陽電池実用化のための技術研究に力を注ぎ、ペロブスカイトインクを用いる印刷技術を独自に開発。責任著者としてサイエンスで論文も発表した。
同社はすでにペロブスカイト太陽電池の量産技術を開発している。特にインクの調合や安定性向上に関する同社独自の技術はさまざまな材料や構造、モジュールのサイズに対応でき、多様なシーンのニーズを満たせる。完全印刷プロセスを採用しているため、材料の利用率や生産効率も高く、コスト削減の余地も大きい。
印刷技術を用いてペロブスカイト太陽電池モジュールの量産化に専念する理由について、黄CEOは、かつて産業革命時代に印刷技術のおかげで新聞や書籍が急速かつ広範に普及したことを挙げ、エネルギー革命時代を迎えた現在でも、スリットコート方式の完全印刷技術を用いて同様の成果を見込めると期待する。低コストで高効率にモジュールを生産できるため、ペロブスカイト技術の急速な普及に弾みがつくからだ。
ペロブスカイト太陽電池モジュールの量産化に当たっては、太陽光を電力に変換するエネルギー変換効率(PCE)、面積、安定性の3つのバランスをとることが重要になる。ペロブスカイトモジュールの生産コストは理論上、従来の太陽電池に用いられてきた結晶シリコンモジュールより低いが、業界が成長するためには、平方メートルクラスの大型モジュールでPCEを上げることが特に重要だ。研究室レベルではスピンコート方式を採用した小型電池のPCEが最高26%に達しているが、面積はおおむね1平方センチメートル以下、材料利用率はわずか3%で、量産化は不可能だ。大型結晶シリコンモジュールのPCEが20%を超えている現状で、平方メートルクラスのペロブスカイトモジュールのPCEがいまだ16〜18%を目指していることからも、ワットあたりのコストで勝負するのは難しい。
光晶能源は2022年の設立以来、インクの調合を独自に改善することで、大型モジュールで形成する結晶を確実に均一化させ、当初の目標以上にPCEを上げることに成功した。昨年11月には生産能力10MWの試験的な小規模生産ラインを建設し、印刷技術を使った大型モジュール生産の可能性を示した。
今年下半期には100MWのパイロットスケール生産ラインの建設をスタートし、次の資金調達も開始するという。24年にパイロットラインの試運転を行い、25年に量産を開始する計画だ。
(翻訳・山下にか)
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