微博(Weibo)の漫画アプリ DL数は1億回突破 二次元市場でテンセントを猛追

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漫画やアニメといった「二次元市場」は投資の人気分野からは外れているが、大手企業は漫画市場の開拓に相当な力を入れている。

「快看漫画(Kuaikan Comics)」や「騰訊動漫(TENCENT ANIMATION&COMICS)」は間違いなくそのツートップだ。中国の調査会社QuestMobileのデータによると、昨年末時点での月間アクティブユーザー数(MAU)は、快看漫画が4551万人で業界1位、騰訊動漫が1379万人で2位となっている。また昨年7月に「中国版ツイッター」微博がローンチしたばかりのアプリ「微博動漫(manhua.weibo.com)」も両プラットフォームを猛追しており、すでにMAUは1000万人、ダウンロード数は1億回を突破し、漫画アプリの先頭集団の仲間入りを果たした。昨年12月には、1日当たりアクティブユーザー数(DAU)で騰訊動漫をやや上回っている。

実をいえば、微博(Weibo、ウェイボ)のウェブサイト上には以前から「微漫画(manhua.weibo.com)」カテゴリがあり、IP化(版権取得)したうえで作品を発表していた。だがIPの育成には長い時間がかかる。当時まだ独立した漫画アプリを抱えていなかった微博は、人気漫画家とも契約しておらず、コンテンツの存在感を発揮できずにいた。作品または作者との契約によりリソースの深刻な流出を食い止め、影響力あるプラットフォームでIPを育てていくため、微博はアプリの開発に至ったわけだ。

ユーザーデータが制作と集客の鍵

アプリのローンチ後、今年初めには「ストーリーの質」を重要視するという基本方針を固め、分散していた編集チームの外部対応窓口を統一し、作者との契約を請け負うようにした。微博動漫にはコンテンツチームも存在し、漫画の加筆修正やオリジナル作品の制作を行っている。現時点でアプリ上の作品数は5000作前後、そのうち300作では独占版権を有している。

微博動漫のアプリ画面

昨年末には微博と連携した「凌雲システム」を自主開発。このシステムでは、ユーザーのペルソナ、行動、検索キーワードなどのデータを分析し、作家に創作上のアドバイスを行える。またネットや微博で話題となっている情報を分析し、ユーザーの好みや行動パターンを把握した上で、自社の創作チームがIPの骨子作りやシナリオ執筆をする際の参考にしている。微博に登録している優れた作家といち早く連絡を取り、コンテンツを確保することも可能となった。

微博動漫にとって、微博ユーザーの確保はきわめて重要だ。最新の「微博アニメ・漫画白書」のデータによると、アニメ・漫画に興味を持つ微博のユーザーは今年年末までに2億6200万人に達し、そのうちコアユーザーは3288万人、トップクラスのKOL(キーオピニオンリーダー)は3万5000人となり、2億人を超えるファンを擁するとみられる。

微博という後ろ盾をもつ微博動漫がユーザー獲得の面で有利なのは明らかであり、これがアプリのリリースからわずか半年あまりで急成長を遂げられた理由だろう。さらに微博が抱える無数のKOLも、作品のPRにとって重要な役割を果たしている。

今年5月には「亜洲動漫榜(アジアアニメ・漫画ランキング)」のバージョンアップを図り、閲覧回数、スレッドの伸び、話題性といった作品やキャラクターの影響力を示すデータを指標化し、消費者の行動や好みに関するインサイトを探っている。今後は作品やキャラクターのランキングに加え、コスプレイヤー、声優、シナリオライターなどの細分化された領域も加えていく。

多様な商業化手段に触手

漫画プラットフォームにおいては、閲覧の有料化はいまだ初期段階にあるため、微博動漫もより幅広い商業化の可能性を試みている。

IPの海外展開と商業化ライセンスの付与に関しては、専門のIPチームがIP評価、ライセンスのレベル、方向性についての専門業務を実施する。現時点では日本、韓国、アメリカ、フランスおよび東南アジアに向け約60作品のライセンスを提供済み。また通常は広告代理店が行う作品PRのトータルプランニングも行っている。

さらに、人気C-POPシンガー黄子韜(ホアン・ズータオ)の二次元化キャラクター「韜斯曼(ZTAO’S MAN)」を一例とした、スター本人から独立して発展するキャラクタービジネスも登場してきている。アニメ・漫画コンテンツとアイドルの連動ビジネスは、微博動漫が目指す重要な方向性の一つだ。そこにはさらなるユーザー獲得のチャンスと、商業化の大きなポテンシャルが潜んでいる。
(翻訳・神部明果)

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