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農業分野のテック企業「FarmWorks」がこのほど、プレシリーズAで400万ドル(約5億8000万円)を調達した。農業分野の投資ファンドARAF(The Acumen Resilient Agriculture Fund)が出資を主導し、VestedWorldやLivelihood Impact Fundも出資に参加した。
FarmWorksは2020年末に設立された、アフリカのケニアにある会社だ。高度な栽培技術を持つ同社は現地の零細農家と栽培契約を結び、種や肥料など原材料の提供および農薬の散布などの基本的なサービスを提供するほか、作物の買い上げや販売も請け負う。2022年の売上高は約1000万元(約2億円)だった。
共同創業者の李奕氏は1990年代生まれの女性で、以前は世界的に有名なコンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーに勤めていた。李氏は、アフリカでは人口増に伴い食物の需要が増加するが、現地の90%以上が零細農家でいわゆる農業技術の革命を経験したことがないため生産高が一定の規模に達するのは難しいと語る。そのうえで「より品質の高い種、肥料、機械、技術を使えば、生産高を簡単に4~5倍に引き上げることができる」と話す。実際、FarmWorksの協力の下で1シーズン栽培した零細農家は収入が平均30%程度増加した。
アフリカやケニアではアグリテック企業は珍しくなく、農業金融、水源管理、技術改造などを幅広く手がけている。しかし、李氏からすれば現地の多くのアグリテック企業は本質的には農業の会社ではなく、高品質の種を農民に貸与して作物の収穫時に現金を回収するレンタル業者だ。
FarmWorksは現金化や規模拡大を可能にするビジネスモデルをどう構築してアフリカの農業を持続可能にするかに着目した。チームの出した答えは、川上から川下までをカバーする産業チェーンだ。販売や生産だけに注目する組織はすでに多くあるが、増収効果は非常に低い。例えばあるNGOは零細農家のために無料で指導するが、問題は農民が指導を受けて有機野菜を栽培しても高付加価値の市場を見つけ販売するのは難しく、すぐにまた元の栽培に戻ってしまうことだ。
FarmWorksは自社農場、契約栽培の二大事業を展開しており、そのうち契約栽培がほとんどを占める。自社農場は主にデモファームの役割を担う。FarmWorksは3つの農場を持ち、全部で約1000ムー(約66.7ヘクタール)を借りている。農場では指導、研究、技術の検証、展示などを目的として、設備を設置したり栽培指導員を招聘したりしている。
契約栽培は同社が大規模に実施しているプロジェクトで、現地の零細農家の「何をどう植えて、誰に売るか」という問題を解決するため、生産から販売までの全過程をカバーしている。毎シーズンの初めに作物の種類を決めて種や肥料を提供し、価値の高い作物の栽培を推進するほか、A/Bテストで可視化した栽培指導や農薬の一括散布を行っている。収穫期にはFarmWorksも作物を市場価格で買い上げ、一部を英国、フランス、オランダなど欧州に直接輸出する。
李氏によると、現地の市場やスーパーはサプライチェーンが安定しておらず、品物があったりなかったりする。FarmWorksは零細農家の生産力を結集した強みを生かし、毎日安定して作物を供給できる。
このほか、各市場の利用者や適した作物の種類、品質がそれぞれ異なるため、需要の違いや運営規則も十分に理解する必要がある。同社は倉庫やトラックをレンタルして物流も自社で運営しており、李氏は「インフラの整備も強みだ。現地では信頼できる物流会社は簡単に見つからない」と話す。
FarmWorksと提携している零細農家は3500戸以上に上り、50カ所以上の農村学校、現地の市場に18店舗を開設した。毎日20トン以上の新鮮な農産物を輸送しており、配送コストは平均水準より17%低く、ロス率は25%下回っている。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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