「快看漫画」がテンセントから130億円を調達 2000年代生まれ向けにコンテンツコミュニティを構築

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8月27日、中国漫画サイト大手「快看漫画(Kuaikan Comic)」は、IT大手テンセント(騰訊)から、1億2500万ドル(約130億円)の資金調達を完了したと発表した。今回調達した資金はIPの購入とコミュニティサイトの構築に使われるという。36Krの取材を受けた「快看漫画」の創業者兼CEOの陳安妮氏は、今後、会社は主にコンテンツへの投資、「00後」(2000年代生まれ)向けコミュニティサイトの構築、および商品開発の3つに注力していくと話す。

「快看漫画」は、2014年12月に創業し、現在はユーザー2億人、MAU(月間アクティブユーザー数)4000万人、1日当たりのサイト滞在時間が30~45分間だ。ユーザーの過半数は「00後」だという。

コンサルティング会社「艾瑞諮詢(iresearch)」によると、2018年のオンライン漫画・アニメユーザー規模は2億1900万人だという。「95後」(1995年~1999年生まれ)がアニメ・漫画産業の主な消費者となっている。「95後」の可処分所得の増加に伴い、アニメ・漫画のIPの価値も増加することが見込まれる。

画像の提供者は艾瑞諮詢

中国のアニメ・漫画業界では、「ビリビリ動画(bilibili)」、テンセントの傘下の「騰訊動漫(Tencent Animation and Comic)」、および「快看漫画」が3大プラットフォームとなっている。

「ビリビリ動画」はコミュニティ型プラットフォームで、2018年の日間ユーザー滞在時間が75分に上る。「騰訊動漫」はIPを主眼とし、契約した漫画作品は約1千部。「快看漫画」は「IP+コミュニティ」のモデルで、前述2社との差別化を図っている。

テンセントは、「快看漫画」への投資は、アニメ・漫画産業の将来性および今後の戦略的な発展のためだという。

中国のインターネットビックデータ解析などを行う調査会社の「QuestMobile」によると、2018年12月時点での、「快看漫画」の MAUは4551 万で業界1位。「騰訊動漫」の MAUは1379万で2位だった。今回のテンセントによる出資は業界トップ間の連携となる。

テンセントによると、投資後も、「快看漫画」は運営体制の独立性を維持するとし、テンセント傘下の各アニメ・漫画部門の事業目標も今回の投資の影響を受けないという。

コンテンツ投資を増やし、IP産業チェーンの開発能力を向上

コンテンツにおいて、「快看漫画」は優れた作者と作品を探すと同時に、IPの価値について、多種多様な開発を行うことで、IP関連産業の開発能力を向上させる予定だという。

陳安妮氏によれば、この5年間、「快看漫画」のオフィシャル契約漫画は3000部を超え、ユーザーから1万部以上の投稿があった。投稿のうち、審査を通ったものはわずか数百部だったという。

「快看漫画」はユーザーに対して、イラスト、同人作品、フィギュア、アフレコ、コスプレ、ゲーム等、漫画以外のコンテンツの公開を奨励している。作品作りの効率を高めるために、AIによる作成ツールの研究開発にも注力しているという。

IP産業チェーンの開発について、「快看漫画」は既にIPの制作力、企画力、及び出版力がある。

技術開発を通じて、コンテンツの配信効率を向上

昨年から、「快看漫画」は長編コンテンツのスマート配信機能の研究開発プロジェクトをスタートした。コンテンツのコアファン層を探し出すために、作品にタグをつけることにより、ユーザーの好みをつかみ、自動的にユーザーにコンテンツを推薦するものだ。

「快看漫画」は以前、トップクラスの作品によりユーザーを集めたが、今後は作品のジャンルを多様化させ、全体のボリューム感によりユーザー規模の拡大を図るという。

「00後」向けコンテンツコミュニティを作る

「快看漫画」のサイトを眺めてみると、徐々に「漫画コンテンツプラットフォーム」から、「『00後』向けコンテンツコミュニティ」へシフトしていることがわかる。

コンテンツ間、作者と読者間において、交流やそこから触発されることが頻繁になってきている。例えば、原作に基づく同人作品、アフレコ、イラスト等の二次創作が増えており、人気も高い。また、頻繁にイベントを行うことにより、ユーザーの作品作りの意欲を掻き立てている。

「コミュニティ化」により、「快看漫画」のビジネス価値とユーザーにとっての価値がさらに拡大すると見込まれ、ユーザーと同社にとってウィンウィンとなる。コミュニティはユーザーロイヤルティを促進するとともに、新たな作者を発掘することにより、ひいては低コストでのコンテンツ獲得につながると思われる。長期的に見れば、「00後」ユーザーには、コンテンツ消費以外にもより高い価値が期待できる。コンテンツコミュニティはその発掘のカギと思われる。

陳安妮氏は、「快看漫画」は今後「IP+コミュニティ」モデルに注力し、他社に比べ、体制を作っているのが特徴だという。また、ほかにも多種多様な試みを予定し、時間がかかっても、ユーザーに理解してもらえると信じ、目下の実績より今後の長期的な発展が大事だと話す。
(翻訳:小六)

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