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中国で2018年に生まれた子どもの数は前年より200万人(11.6%)少ない1523万人だった。夫婦に2人目の子どもを認める「二人っ子政策」の効果は16年と17年には顕著に表れたものの、政策効果は徐々に薄れてきている。マタニティー・ベビー業界はここ数年、起業家たちが最も激しくしのぎを削る業界の一つだったが、出生数の減少や家族構成の変化に伴い、経営戦略の調整を迫られている。
「上海YY信息科技(Shanghai Yaya Information Technology)」が運営する「媽媽幇(mmbang)」は妊娠や出産、6歳までの子育てに関する情報を集めたアプリで、2003年に運営を始めた「YY網」を前身とする。現在のような情報提供や交流を中心とする形態に変わったのは2011年。現時点で登録ユーザー数は7200万人、1日当たりのアクティブユーザー数(DAU)は600万人を超える。
同社の張良CEOによると、情報が爆発的に増え続ける昨今、妊娠中や子育て中の母親は効率よく情報を取り入れたいと考えており、特定の分野の情報を掲載するだけのバーティカル・メディアはすでに存在意義をなくしている。そこで媽媽幇は今年、コンテンツの充実や方向性の改善を図った。ソーシャルECアプリ「小紅書(RED)」のような枠組みでコンテンツをより面白く魅力的に生まれ変わらせ、ユーザーのニーズや悩みの強弱を分析した結果に基づくダイアグラムも作成した。これに基づき、妊娠中や子育て中の母親が必要とする情報を効率よく引き出せるコンテンツを構築した。
母親たちにとってマタニティー・ベビー関連のプラットフォームは、これまで妊娠・出産に関する情報を得るためという位置付けに過ぎなかった。そのため、子どもの年齢が上がるにつれて利用する母親も減少していく。媽媽幇は母親たちのこうした認識を変えようとしている。
媽媽幇のコミュニティでは、母親の生活全般に関するコンテンツが全体の50~60%に上る。これに対し、妊娠・出産関連は30~35%、残りは消費関連が占める。母親としての人生を充実させるためのグルメや旅行、ヘルスケアなどの情報を満載し、ユーザーの利用期間を引き延ばす作戦だ。
張CEOは出生数の減少は今後も続き、「2018年、19年と業界は大きな淘汰の波に襲われる」との見方を示す。ただ、出生数の低下が市場規模の縮小を意味するわけではない。高級粉ミルクの売れ行きは増加の一途をたどっており、客単価は上昇傾向を維持している。媽媽幇は業界内の良質なリソースを持ち寄り、妊娠・出産・子育てを巡るグループを結成することで、ユーザーに妊娠準備から妊娠期間、出産、乳幼児の育児までの全サイクルを網羅したソリューションを提供したいと考える。
媽媽幇の収益源は広告事業、有料コンテンツ、電子商取引(EC)などで、広告事業が全体の約8割を占める。すでに収益化を果たしており、2019年の売上高は2億元(約30億円)に達する見通しだ。本部は上海で、杭州や広州、北京にもオフィスがあり、120人近い従業員を抱える。2017年にシリーズBで「北京世紀好未来教育科技(TAL)」から1億元(約15億円)規模の出資を受けた。
マタニティー・ベビー市場の競争は非常に激しい。張CEOは媽媽幇のライバルについて、「母親向けに特化したバーティカル・メディアだけではなく、女性ユーザーの興味を引く全てのプラットフォームだ」と指摘。母親たちのニーズや動向を十分に捉え、常に新鮮な情報を提供していくことが、媽媽幇が現時点で直面する課題だと語った。
(翻訳・鈴木雪絵)
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