WeChatに新機能、モビリティサービス登場でユーザーの取り込み図る 

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中国のIT大手、テンセント(騰訊)が手掛ける微信(WeChat)が機能の拡大を進めている。

電子決済サービスの微信支付(WeChat Pay)アプリのメニュー画面に「出行服務(モビリティサービス)」のアイコンが追加されたことが分かった。タップすると「騰訊出行服務(テンセント・モビリティサービス)」のミニプログラムが起動する。テンセントクラウド・スマート産業事業グループによると、これは個人向けのワンストップ型マルチモーダルモビリティサービスで、今はまだ深圳エリアに限定したテストの段階だという。

このミニプログラムには現在、ルート検索、公共交通機関の運行情報、マイカーサービス、観光ガイドなど4つの機能がある。ミニプログラム内で洗車や給油プリペイド、違反車両照会システムなどの外部サービスも利用でき、深圳市地下鉄の乗車用QRコードも入手できるという。

WeChat Payのメニュー画面にモビリティサービスのアイコンが追加された理由の一つは、テンセントがスマートモビリティ事業の重要度を上げたためだろう。WeChatミニプログラムの統計データ分析を手掛ける「阿拉丁(アラジン)」によると、2019年の微信(WeChat)ミニプログラムのデイリーアクティブユーザー(DAU)は3億5000万人に達する見通しで、きわめて重要な集客口となっている。また、モビリティサービスは将来的に評価や配車など機能の拡張が可能であり、テンセントがスマートモビリティのサプライチェーンを構築する上で選択肢が広がるためだともみられる。

「ルート検索」をタップすると、直接テンセントの地図アプリ「騰訊地図」に進む。中国ネット大手3社BAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)は、それぞれ百度地図、高徳地図、テンセント地図と自前の地図アプリを手掛けているが、テンセント以外の2社で75%ものシェアを占めている。テンセントはWeChatを活用して騰訊地図にユーザーを取り込む流れを確立したいと考えているようだ。高精度のナビゲーション用地図は自動車用テレマティクスや自動車メーカーとの提携においても重要な分野であり、音声インタラクティブ、サービス体制、車載OSなどとも直接関わってくる。
「公共交通機関の運行情報」では、バスの到着時刻をすぐに確認することができる。深圳市地下鉄の乗車用QRコードを入手することも可能だ。乗車用QRコードの利用者は7月に2000万人を突破、決済にはWeChat Payが使われることが多いことも、騰訊出行服務のアピールにつながるとみられる。

「マイカーサービス」では、「お得な洗車」をタップすると店舗検索画面に進む。近くの洗車スポットとその価格帯が明示され、マイカーオーナーは最も自分のニーズに適したサービスを手軽に選ぶことができる

「観光ガイド」では周辺の観光地が一覧で確認でき、タップすると「腾讯智慧景区(テンセント・スマート観光スポット)」のミニプログラムに進む。全体図、トイレや出入り口などを含む観光案内図が騰訊地図上に表示され、好みの観光ルートを選ぶと所要時間も分かるようになっている。

ルート検索機能からや公共交通機関の運行情報まで、各都市の公共交通システムが大多数の人々にとって外出に欠かすことができないということも、スマートモビリティサービスの拡大につながっている。また、マイカーサービスや観光ガイドによって、人々はより手軽で、よりカスタマイズされたモビリティサービスを楽しめるようになる。それがテンセントの差別化における競争優位性につながる。

今回の新サービスの公開は、テンセントがスマートモビリティ事業で、公共交通機関からマイカーまで、さらには配車サービスや地図表示などを全面的にカバーするような戦略を打ち出すことを示唆していると言えよう。
(翻訳:貴美華)

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