自撮りアプリ大手の「Meitu(美図) SNS型求人サイトへの投資でトラフィックの収益化を目指す

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トップクラスのツール型アプリにとって、トラフィックの収益化が常に難題となる。スマホ、EC、ライブ配信など、何度も方向転換した画像加工アプリ「Meitu(美図)」は、まだトラフィックの収益化スキームを模索中だ。

8月28日Meituは、株式発行とキャッシュ支払いの方式で、ソーシャルネットワーク型求人サイト「大街網(dajie.com)」の株57.09%を取得すると発表した。総取引価格は約3.95億香港ドル(約55億円)。そのうち、約5253万香港ドル(約7億3500万円)はキャッシュによる支払いだ。「大街網」は取引後も独立運営を継続する。Meituはトラフィックを提供し、「大街網」はMeituが提供するサービスの一環として入る形だ。

この取引は、Meituが主な収益源をスマホ事業から広告へ転換し、主要事業もソーシャルネットワークに移行したことを示している。「大街網」への投資により、Meituは特定分野に特化した限定型インターネットプラットフォームに更に近づいた。最近公表されたMeituの2019年上半期財務データによると、インターネット事業がMeituの総売上高の99.7%を占めているが、昨年同期のこの割合はわずか28%だった。

この動きは今後のMeituの戦略に合致している。昨年11月、Meituは携帯電話の生産を中国スマホ・メーカーの「小米科技(シャオミ)」にライセンスした。36Krの取材を受けた際に、MeituのCFOの顔勁良氏は、Meituは技術とインターネットの企業に近い存在だが、今後は限定型インターネットプラットフォームを目指していると話していた。

ツール型のサービスとして、Meituは月間3.08億人のアクティブユーザー数を誇るが、利用時間とユーザーロイヤルティは高くない。Meitu の最有力写真加工アプリの「 MeituPic(美図秀秀)」のソーシャルメディアユーザーは平均的利用時間が12分しかなく、収益化スキームが確立していないことがMeituにとって大きな課題となっている。

現在の中国のスマホアプリ市場では、ツール型アプリの有料化スキームは未成熟なため、ユーザーに課金することができない。そのため、広告を掲載せざるを得なくなるが、ツール型アプリは利用時間が短く、利用頻度も高くないため、広告による収益が低く、ユーザーの反感を買うリスクもある。

そのため、複数回の試行錯誤を経て、Meituはソーシャルメディアへ転身し、ソーシャルメディア化路線の「美和社交」戦略を掲げるとともに、ソーシャルメディア型求人サイトの「大街網」を視野に入れた格好だ。

求人サイトはユーザー利用時間が長く、継続的な利用が可能。今回の投資を通じて、Meituは収益化スキームを開拓し、トラフィックの収益化の新しいシーンを見つけた。「大街網」にとって、Meituのユーザーの80%以上が35才未満のため、求人側にとっては潜在的なトラフィックの源泉になる。

「『大街網』の求人サービスには独特なソーシャルメディア機能があるため、Meituの商品シリーズの中でも複数分野を跨ぐ素晴らしいアプリとなり、Meituがユーザーに提供する高付加価値サービスの一環となる。Meituの出資を受けた『大街網』は、新たな業界での競争優位性が生み出されると確信している」と、「大街網」の創業者の王秀娟氏は話す。商品の変化について、王氏は、今後Meituと「大街網」双方のユーザーの性質に基づく商品を開発し、プラットフォーム側のサービス形態、運営体系およびバックエンドシステムも徐々に整備していく予定だという。

この相互補完的な組み合わせは確かにウィン・ウィンな取引のように見えるが、理想的なシナジー効果を生み出すとは限らない。まず、「大街網」は求人サイトとしてトップではないことから、Meituのユーザーに対してどれだけ魅力的かは未知数だ。また、Meituの自社ソーシャルメディア戦略の「美和社交」の財務データは良好とは言えず、今回のように求人サイトに高額な投資をしたところで、効果には疑問符がつく。

Meituは限定型インターネットプラットフォームの道を邁進しているが、収益化への道はまだ長いようだ。
(翻訳:小六)

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