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「電気自動車(EV)」は急発展を遂げているが、依然として充電方式がボトルネックとなっている。従来の単一的な充電方法は時間がかかり、効率が悪いなどの問題を抱えているため、今後はバッテリー充電・交換一体型モデルがトレンドになるだろう」と専門家は話す。
8月に上海市で、中国科学院大気物理研究所、国家発展改革委員会・産業経済および技術経済研究所、中国科学院科学技術戦略諮詢研究院が共同研究・編集した「電気自動車および分散型蓄電システム発展報告」白書が発表された。
同白書によると、EVと分散型蓄電システムが連動しながら発展することは、都市のエネルギー消費方法を刷新する重要な方法となる。規格化された小型バッテリーの充電・交換一体型モデルは、自動車と都市への新エネルギー活用を加速すると見込まれている。
公安部のデータによると、2023年6月末時点で、中国の新エネルギー自動車保有台数は1620万台を超え、うちEVは77.8%に当たる1259万4000台に上った。EVの生産・販売台数、市場シェア、保有台数はいずれも過去最高を記録したが、保有台数が急増したことでエネルギー供給には大きな試練が訪れている。
中国の発電量は現在、1カ月平均約7000億キロワット時、1時間当たり10億キロワット時に上る。EVの急速充電の出力を250キロワットと仮定した場合、中国の全ての電力をEVの充電に使ったとしても、同時に急速充電できるEVの台数は1時間に約400万台だ。しかも充電スタンドの建設や使用効率のばらつきが大きいといった現実問題もあるため、現行の電力供給網では急増するEVの電力需要を満たすことが難しく、新エネルギー普及のボトルネックとなっている。
このような背景を踏まえ、同白書は資源集約型で低コストかつ安全性の高い、規格化された小型バッテリーの充電・交換一体型モデルを分析すると共に、その技術的な解決手段、経済的効果、社会的効果、二酸化炭素排出削減効果を評価した。
それによると、バッテリー充電・交換一体型モデルの大規模な運用ネットワークは北京市、上海市、四川省成都市、貴州省貴陽市などに集中している。同白書は都市の蓄電・EV相互給電ネットワークの研究開発および活用の事例をもとに、成都市の新エネルギー技術企業「鷹明智通(Eagle Sight)」が独自開発した分散型蓄電・車両運営ソリューションの「成都・貴陽モデル」を取り上げて分析を進めた。
鷹明智通は自社のプライベートクラウド「鷹明雲(Eagle Sight Cloud)」、小型スマートバッテリー、スマート蓄電設備を組み合わせることで、さまざまなシーンに対応したエネルギー供給サービスを提供している。「充電・蓄電・バッテリー交換」を一体化し、スマート化かつ軽量化された小型バッテリーを採用することで、より幅広い活用シーンや分散型蓄電の需要に応えると共に、自社のプライベートクラウドを通じて車両運行データの収集・伝送やバッテリー・ライフサイクルの管理ができる。
同白書のデータによると、電力のピークカットとピークシフトにおいて、小型バッテリーを採用する成都・貴陽モデルでは、85%のバッテリーが電力使用量の少ない時間帯に充電できる。従来は75%が電力使用のピーク時に充電されていた。成都・貴陽モデルは電力利用を十分に調整する作用があり、電気料金の差によって経済的な価値を生み出せる。
また、バッテリーは新エネルギー自動車で3年間使われた後、バッテリー交換ステーションで蓄電用にカスケード利用される。そのため、時間が経てば社会全体で保有するバッテリー資源が増えていき、バッテリーは夜間に蓄電、日中に別のバッテリーの充電に使われるようになって、ピークカットとピークシフトに貢献する見通しだ。
同白書は、規格化された小型バッテリーの低速充電・交換一体型モデルによって、新エネルギーを有効利用し、送電網のピークシフトやEVの充電をめぐる問題を緩和できる上、都市のエネルギー利用効率の向上、エネルギー構造の最適化、ピークシフト、エネルギー安全保障の強化が図れると結論づけた。
(翻訳・大谷晶洋)
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