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中国の新興電気自動車(EV)メーカー「威馬汽車科技集団(WM Motor )」がこのほど、 上海市第三中級人民法院に事業再編の審査を申請した。同社の関連会社、蘇州威馬智慧出行科技の株式60億元(約1200億円)相当が凍結されたとの情報もある。
今年に入ってから、威馬汽車については店舗の大量閉店や工場の操業停止、給与未払い、社会保険料の未納など、さまざまな問題が明るみに出ている。上海にある本社ビルはすでに、もぬけの殻だという。
同社は2015年に設立され、蔚来汽車(NIO)などと並んで中国新興EVメーカーの第1陣となった。創業者の沈暉氏は、中国自動車大手の浙江吉利控股集団(Zhejiang Geely Holding Group)や傘下のスウェーデンの名門ボルボ・カーズで要職を歴任するなど、自動車業界で深い見識と実績を積み重ねた人物だ。設立当初から投資家の注目を集め、ネット大手の百度(バイドゥ)や騰訊控股(テンセント)、投資大手の紅杉資本中国基金(旧セコイア・キャピタル・チャイナ、現HongShan)などから出資を受け、20年のシリーズDでは新興EVメーカーとしては過去最高額となる100億元(約2000億円)を調達した。
2018年9月に初の量産車「EX5」を発売すると、数カ月にわたって新興自動車メーカーの販売台数ランキングでトップに君臨した。しかしその勢いは続かず、22年の販売台数は3万2000台にとどまった。しかも、その大部分をネット配車業界からの受注が占めていた。一方、ライバルだったNIOの販売台数は12万台を突破し、明暗を分けた。
競合する新興EVメーカーが続々と上場を果たす一方で、威馬汽車は上海取引所の新興企業向け市場「科創板」や香港取引所への上場を目指したがいずれも失敗。今年初めには、香港取引所に上場する高級スマートEVメーカー「アポロ・フューチャー・モビリティ・グループ(AFMG)」を逆買収することで香港取引所への裏口上場を目論んだが、これも失敗に終わっている。
目論見書によると経営状態の悪化も明らかで、2019年から21年にかけては3年連続の赤字となっており、累計赤字は174億元(約3500億円)に達した。
そんな中、威馬汽車の買収に手を挙げる企業が現れた。中古車販売を手がける「開心汽車(Kaixin Auto)」は9月11日、威馬汽車の買収に関する拘束力のない意向書に署名したと発表。開心汽車が一定数の新株を発行し、威馬汽車の全株式を取得する方針を明らかにした。事実上の株式交換にあたるため、威馬汽車が開心汽車を通じて米国市場に上場する可能性があるとの見方もある。しかし、この買収計画が実現するかについては、不確実性が大きい。
威馬汽車の最新の発表によると、同社は事業戦略を調整して財務面や債務問題を解決する方針で、新たな資金調達による自力再建を目指すという。上海市中級人民法院は10月7日、威馬汽車には商業的価値と再生の可能性が残されているとして、同社の事業再編申請を受理した。
*23年10月11日のレート(1元=約20円)で計算しています。
(36Kr Japan編集部)
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