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タピオカミルクティーに代表される中国発ミルクティーのブームは本国でも継続中だ。次々と新しいアイディア商品が市場に登場しているが、最近になって最も注目を集める話題と言えば、「あの店は倒産したかどうか」といったネガティブなものだという。
ミルクティー業界の負の側面を語る話題は、インターネットへの投稿に端を発している。人気店のフランチャイズに加盟したものの、失敗に終わった元経営者たちが続々と体験談を投稿しているのだ。中には「加盟店の90%は倒産の運命をたどる」といった内容もある。「ミルクティーはマルチ商法」といった文言が検索ワードのランキングを賑わせることもある。
近年、ミルクティーは消費分野の一大トレンドとして、投資家からも熱い視線を集めていた。「1点点(Yidiandian)」「CoCo都可(ココトカ)」「蜜雪冰城(Mixue Bingcheng)」など比較的歴史のある大手ブランドがフランチャイズ方式で大規模に展開する一方、「喜茶(Hey Tea)」「奈雪の茶(Nayuki)「「楽楽茶(LE LE CHA)」などの新興ブランドも急速に台頭し、中には上場を射程圏内に入れている成功企業もある。
ミルクティー販売店は開業資金が少なくて済む上、従業員も少数で運営でき、出店場所にもあまり制限がない。「お茶は誰でも頻繁に飲むものだから、どうやっても商売はうまくいくだろう」というのが大方の見解だ。
しかし、現実はそう甘くはない。
フランチャイズの罠
ミルクティーで開業するには、足がかりをつかむ時点で選択を誤ってはならない。
開業希望者は早く利益を出したいと望むあまり、甘い言葉を掲げる募集広告に騙されるケースが多い。これらは「フランチャイズ募集代理店」を謳う企業がしかける罠だ。インターネットで検索すると、こうしたミルクティー販売店のフランチャイズ募集広告は無数に見つかるが、これらは運営元とは無関係の業者による非公式なものであることが多い。36Kr編集部が確認したところ、前出の1点点、CoCo都可、蜜雪冰城の3社では、公式サイト以外でフランチャイズの募集は行っておらず、外部に広告を出すことは一切ないという。
こうした「ニセ代理店」の手口は、まず有名ブランドの名をかたって出店希望者を惹きつけ、「フランチャイズに加盟したいならもっとよいブランドがある」として、ニセブランドのフランチャイズに勧誘するものだ。彼らの目的は、出店希望者から加盟金を集め、備品や設備を不当な価格で売りつけることだ。
過去にこうしたフランチャイズに投資し、500万元(約7600万円)の損失を被った人物によると、「フランチャイズへ加盟して起業したいと望む人のほとんどは、お金をもうけることが最終目標。ミルクティー自体がもうかる商材だと考えているため、どのブランドを看板に掲げるかという点には関心がない」と話した。
現在、市場に氾濫する多くのニセブランドがこうしたニセ代理店の手によるものだという。上記で紹介した喜茶、奈雪の茶、楽楽茶などの新興ブランドはいずれもフランチャイズ運営は行っていないはずだが、市場には店名やロゴデザインが酷似した多くのコピーブランドが存在する。フランチャイズ運営を行っているブランドに関しても、その加盟条件が厳しすぎるため、多くの類似ブランドを生んでしまっている。前出の1点点は公式サイト上でこうしたニセ店舗を所在地入りでリストアップし、注意を呼びかけている。「THE ALLEY(鹿角巷)」のような商標登録を行っていないブランドの場合は、さらに状況が深刻だ。同ブランドは実際の出店数1000に対して、ニセ店舗が7000店存在するという。
こうしたニセ業者の罠をかいくぐったとしても、ミルクティーブランドの加盟店にはさらなる障壁が待ち構えている。
フランチャイズの形式は大別して2種類ある。一つは加盟金を支払った後、仕入れは本部経由で行い、研修費や保証金、ロイヤリティ(売上歩合方式)まで納める形式だ。しかし経営自体は本部が関与しないため、事実上は自営に近い状態となる。ミルクティーのフランチャイズは大部分がこの形式をとる。
もう一つは、加盟金を支払う代わりに本部が経営をしっかり管理してくれる形式だ。大手企業の場合はこの形式をとることが多い。加盟店は経営のノウハウを熟知しなくとも、本部の支援を受けることで低負荷・低リスクで運営ができる。しかし、こうしたフランチャイズに加盟するには厳しい条件をクリアする必要がある。現状は多くの出店希望者がふるい落とされてしまうのだ。
後者の形式をとる1点点は、出店都市によっては100万元(約1500万円)近い加盟金を徴収する場合もある。CoCo都可は各地域にエリアパートナーを置き、パートナー経由で加盟店を募る。パートナーになるには飲食業で一定以上のマネジメント経験を持ち、現地で一定のリソースや資金を有していることが条件だ。
開業より継続が難しい
加盟金が安いケースの場合、運営を継続するにあたり、最終的には大きな負担が生じることになる。その多くを占めるのが人件費や店舗賃料だ。例えば、1点点は加盟金が高額だが、平均17カ月で初期費用を回収できるモデルとなっている。一方、luckin coffee傘下のティーブランド「小鹿茶(Luckin Tea)」の場合は、黒字化するまで加盟金やロイヤリティを納める必要はないが、約20万元(約300万円)の保証金を納めることが義務付けられており、初期資金の回収にはやはり平均18カ月かかる。
ミルクティーのフランチャイズ運営には落とし穴が多い。かといってフランチャイズ形式そのものには罪はない。その成否はフランチャイザー、フランチャイジー双方の運営能力が左右する。
(翻訳・愛玉)
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