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病気の早期発見や早期予防には、早期のスクリーニング検査が極めて重要になる。中国ではここ数年、健康管理に関する政策支援が強化され、人々の健康意識が高まるとともに、早期スクリーニングの分野も新たな発展のチャンスを迎えた。
中国政府が2030年までに国民の健康水準を引き上げる国家戦略として策定した「健康中国2030計画綱要」では、新たな形の健康サービス産業を育成し、スマートデバイスやモバイルアプリなどによる健康管理サービスを発展させる必要があるとしている。
市場調査会社の艾媒諮詢(iiMedia Research)によると、中国のデジタル健康管理の市場規模は将来的に2400億元(約4兆8000億円)を超える見込みだという。早期スクリーニングに関しては、現在のところ医療機関や健診機関に加え、自宅での自己測定を手がける企業が市場を分けあう形となっており、突破口を開くには全く新しいアプローチが必要になる。
これを実現したのが、アリババグループ出身の張振波氏が設立した「西安遇測健康管理(Yuce Technology)」(以下、遇測)だ。インターネット業界で実績を積んだ張氏は「シェア」の概念に改めて注目し、公衆トイレ向けに自動尿検査機能付きの小便器を開発した。事業準備を始めたのは2018年で、19年には第1世代の製品の開発を完了し、21年には量産を開始。現時点では男性用小便器のみを提供し、ショッピングセンターや観光地、高速鉄道の駅など人が集まる場所の公衆トイレに設置している。
遇測の尿検査機能付き男性用小便器は、通常の使用を妨げることなく尿検査が行える。検査項目は、ケトン体やウロビリノーゲン、亜硝酸塩など14項目に及ぶ。利用料をテンセントのモバイル決済サービス「微信支付(WeChat Pay)」で支払えば、対話アプリ「微信(WeChat)」に検査結果が送られる。
従来の検査方法を実施する医療機関などと比べた場合、遇測の最大の強みはリアルタイムで検査結果を提供できることにある。創業者の張氏は「尿は空気に触れると30分で変質してしまう。だからこそ、当社はリアルタイム検査を実現した」とした上で、「当社が提供する検査リポートでは、各検査項目の数値が示す意味を解説しているため、改めて医師の説明を受ける必要がない。利用者は自身の健康状態を知り、適切なタイミングで医療機関に相談したり、日々の生活で調整を図ったりしやすくなる」と述べた。
利用者の多い公衆トイレに尿検査機能付き小便器を設置した場合、検体の交差汚染や数値の誤差といった問題は起こらないのだろうか。もちろん、張氏は開発当初から対策を講じていた。遇測の尿検査機能付き小便器には、毎回の使用ごとに検査機器を利用者自身の尿で洗い流し、使用後にきれいな水で洗浄する機能に加え、検査機器内部の部品を毎日ディープクリーニングする機能が備えられている。
張氏は、きれいな水も不純物であることに変わりはないため、利用者自身の尿による洗浄が最適だとし、「私たちが保有する技術により、利用者の尿を自動採取して半分を検査機器の洗浄に使い、残りの半分を検査に用いている。テストの結果、仮に不純物が残っていても数千倍に希釈され、検査結果に影響しないことが明らかになった」と説明した。
遇測はすでに、実用新案40件余り、特許6件、意匠2件を申請している。張氏によると、同社の尿検査機能付き小便器は今年3月に市場に投入されて以降、映画館や高速道路のサービスエリアなど2000余りの施設に1万台近くが設置され、すでに100万人以上が利用したという。
同社は現在、男性用小便器のみを提供しているが、年内に婦人科系の炎症などを検査できる女性用便器も打ち出す計画を明らかにしている。張氏によると、現在の主な収益源は検査料で、利用者のリピート率は10%前後に上っており、売上高はすでに損益分岐点に近づいている。今後は製薬会社や医師との提携も視野に入れ、サービス拡大を目指す方針だという。
(翻訳・田村広子)
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