地方の無名ブランドにもフォーカス タオバオの「ものづくりフェス」、会期14日へ拡大 

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ジャック・マー氏がアリババグループ会長の座から退いてまだわずかだが、同氏は早くもアリババ傘下のECモール「タオバオ(淘宝網)」が主催する「ものづくりフェス」への参加を表明した。杭州市で開催される「タオバオ・メーカー・フェスティバル(淘宝造物節)」は今年で4回目を迎える。マー氏は多忙の中、会場の一つとなった「杭州鍋爐集団(HANGZHOU BOILER GROUP)」を慌ただしく訪れ、マオタイ酒フレーバーのアイスクリームに舌鼓を打った後、中国初の開催となったバーバリーのファッションショーを見学した。

このメーカー・フェスティバルは、今年初めて二会場での同時開催となった。「水」と「火」をテーマとした各会場では、屋内と屋外で全く異なる光景が広がる。屋内会場となった杭州鍋爐集団の旧工場には、SFスタジオ、ファッションストリート、グルメエリア、「中国風」をテーマとする展示コーナーなどが設けられており、「代替肉」のブースには長い列ができている。

爆発的人気となっている代替肉のコンセプトについての展示

一方で西湖会場では、世界トップクラスのブランドに加え、中国の人気デザイナーズブランドや新鋭ブランドによるファッションショーが行われた。伊Kappa、英Chalayan、仏KOCHE、中国人デザイナーによるCHEN PENG(チェン・ペン)やBAN XIAOXUE、中国のスポーツブランド李寧(Lining)やParticle Fever(粒子狂熱)のほか、独立系デザイナーたちが中国の若者から注目される新作限定品を発表した。

西湖で開催されたバーバリー中国初のファッションショー

今年の出店店舗に関しては、新鮮さや独自性に加えトレンド性にも目配りがされており、店舗の特色と販売数などの指標の両方に配慮したものとなっている。

展示エリアはトレンド、テクノロジー、シノワズリ、アート・デザイン、グルメ、無形文化遺産に区分されている。トレンドエリアは入口の最も目に止まる場所に設置され、出展ブランドも47店とエリア最多。消費市場での爆発的ヒット商品は、各業界にとって特に興味深いトピックスなのだ。

スニーカー、おもちゃのブラインドボックス、人気ブランドのコーナーが会場の入口付近に集まっていた

今回初めて設けられた無形文化遺産エリアだが、ここ最近では、国家級無形文化遺産の指定工芸品の5割、および中国政府認定の老舗の7割がタオバオに出店を果たしている。タオバオはこうした老舗を新たなトレンドに生まれ変わらせ、若者の注目を集める上でも一役買っている。

各社が会場で限定商品を次々と発表した

今回の会場ではネットショップの影が薄く、国民的ブランドや地方の特色ある小規模店舗、多くの人気店が集中的に出店する。こうした変化に対応するため、今年は会場規模の拡大に加え、従来3~4日だった開催期間も14日間に延長されたほか、店舗数、商品数に関しても2~3倍に増えており、400店以上が1000種類を超える商品を販売するという。

タオバオは現在、地方に散らばる特色ある事業者が、より大きな市場へ販路を拡大していくためどのような支援を行えるかという現実的な問題と向き合っており、それが今回の出店店舗の変化に表われていたといえる。

湖南省長沙市で有名な軽食店「文和友」の出店ブース

小規模ブランドは通常、ターゲット市場を明確に定めているため営業効率が高い。そのため大量の広告を出す必要もなく、ブランドのブラッシュアップのみに注力する場合が多い。だが一方で、この点が企業の成長をもう一段階上に引き上げる上での妨げともなっており、大衆消費市場における認知度に影響を与えている。メーカー・フェスティバルは、各ブランド間の相乗効果によって小規模ブランドの特色を最大化し、彼らがより多くの人気を獲得する上でも有効なエコシステムとなっている。

メーカー・フェスティバルはすでに「双11」と呼ばれる11月11日の大セールに継ぐタオバオの重要な看板となり、出店商品に関してもこの4年間で奇抜路線から大衆路線へと変化を遂げている。小規模ブランドの成長に加え、イベント自体の影響力や商業化の高まりがその背景にあるといえるだろう。
(翻訳・神部明果)

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