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炭素繊維を用いた「カーボンスリーブローター」を開発する中国のスタートアップ企業「墨森科技」がこのほど、エンジェルラウンドで原子創投(Atom Ventures)から数千万元(数億〜十数億円)を調達した。
墨森科技は主に、永久磁石モーター向けのカーボンスリーブローターとカーボンブラシの設計・製造を手がけており、シミュレーションや検査の能力も備えている。
モーターは、電気自動車(EV)など新エネルギー車(NEV)の要となる部品だ。従来はモーター内のローターにケイ素鋼板を使用していたが、2万rpm(1分あたりの回転数)を超える高速回転に耐えられなかった。そのため、回転数が上がっても効率の落ちないローターの開発が課題となっている。
炭素繊維は、航空宇宙などの先端分野で最初に利用され始めた素材で、低密度・高強度・高弾性率・耐食性などの特性を持つことで知られる。ローターに炭素繊維を巻きつけて保護すれば、電磁設計を最適化し、回転数と出力密度を高められる上、サイズや重さだけでなくコストも改善できる。
墨森科技は、保護材に炭素繊維を用いたローターの一体成型技術に焦点を当て、1000MPaを超える引張強度に耐え、最高回転数3万5000rpm以上を実現するカーボンスリーブローターの開発に成功した。米EV大手のテスラが2021年に発売した「Model S Plaid」にカーボンスリーブローターが搭載されているが、回転数は2万rpmと墨森科技には遠く及ばない。
中国のNEV業界は現在「内向き」の競争に向かっている。メーカー各社は次世代の電気駆動システムの開発にしのぎを削っており、駆動用モーターの回転数を従来の1万6000rpmからテスラの2万rpmを超える2万5000rpm以上に高め、駆動電圧を現在の400Vから800Vへ、さらには1000Vへと向上させようとしている。その一方で、NEVの価格競争も進んでいるため、部品コストを抑える必要もある。
同社の創業者・郭金海氏は、カーボンスリーブローターが高速回転によって起こりうる安全性の問題をクリアし、高電圧で発生する軸電流の問題はカーボンブラシで解決できると説明した。コスト面でも、設備一式を追加導入すれば、ローター1個あたりの生産コストを下げられるという。
郭氏は、新型車の開発期間は短縮されつつあると考えている。墨森科技のシミュレーション設計部門は、24時間以内にカーボンスリーブの構造設計とプロセス設計を完了し、サンプルを完成させることが可能だという。顧客のニーズに迅速に応えられることが同社の大きな強みとなっている。
同社のカーボンスリーブローターは、NEVだけでなく、高速で稼働する工作機械や紡績機のほか、高級家電や航空宇宙の分野にも対応しており、提携企業はすでに100社近くに上る。
(翻訳・田村広子)
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