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仮想現実(VR)や拡張現実(AR)、複合現実(MR)を含むクロスリアリティ(XR)業界が、厳しい冷え込みに見舞われている。米アップルが6月に発表したゴーグル型端末「Vision Pro」に期待が集まったものの、業界に春が訪れる兆しはない。
かつて米「Meta Quest 」の対抗馬と言われる中国バイトダンス傘下のVRデバイスメーカー「Pico Technology(小鳥看看科技、以下Pico)」も窮地に立たされている。
Picoは11月7日、間もなく大規模な人員削減を実施すると発表した。全体の約23%にあたる300人以上が解雇されるという。同社は通常業務を維持するとした上で、今後は光学やディスプレーなどXRのコアとなる技術の開発を強化し、XR事業を「辛抱強く、長期的な観点で進めていく」とした。
バイトダンスは2021年、VRとメタバース分野の発展のため、90億元(約1900億円)を投じてVRヘッドセット中国最大手のPicoを買収し、以降は研究開発やマーケティング、運営などに多額の資金を投入してきた。これまでの報道によると、22年4~6月期のPicoの出荷台数は26万台に達し、中国VR市場では約7割のシェアを占めた。世界シェアも21年1~3月期の0.99%から11.16%に上昇した。しかし、Picoも世界のXR市場の冷え込みには逆らえなかったようだ。
米調査会社IDCによると、22年のAR/VRヘッドセットの世界出荷台数は880万台で、21年の1100万台から大幅に減少。さらに、2023年1~3月期の出荷台数は前年同期比で5割減少した。
米メタは当初、23年後半にVRヘッドセット「Meta Quest 3」を700万台生産する予定だったが、200~250万台に下方修正した。24年の出荷台数も100万台に減らすという。Picoもすでに、23年の販売目標を前年の半分にあたる50万台に引き下げている。
*2023年11月10日のレート(1元=約21円)で計算しています。
(36Kr Japan編集部)
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