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中国化粧品市場の冷え込みと福島第一原発処理水の海洋放出が影響し、日本の化粧品メーカー各社は中国事業の落ち込みに直面している。
資生堂が発表した2023年1〜9月期の売上高は5.3%減の7224億円となった。7〜9月期に限ると、売上高は15%減の2282億円で、本業のもうけを示すコア営業利益は53%減の88億円だった。
1〜6月期の決算報告書によると、中国事業の売上高が全体の26.4%を占め、最大の稼ぎ頭となっていた。高価格帯ブランドの「クレ・ド・ポー ボーテ」と「SHISEIDO」が好調で、4〜6月期は売上高が前年同期比20%増となったが、7〜9月期は9%減と減少に転じた。資生堂は売上高減少の主な要因として、処理水放出後の日本製品買い控えを挙げている。
中国では10月31日〜11月11日、年間最大級の電子商取引(EC)セール「独身の日(双11、ダブルイレブン)」が開催されたが、日本の化粧品メーカーの成績は振るわなかった。中国の調査会社「星図数据(Syntun)」がセールに参加したほぼ全てのECサイトをモニタリングしたところ、美容・スキンケア部門の売上高トップ10に入った日本メーカーは1つもなかったという。
実際のところ、処理水放出の影響が出る前の段階で、日本の化粧品メーカーは売上高の減少に直面していた。花王の「キュレル」やカネボウの「フリープラス」などのスキンケアブランドは、22年に前例がないほどの売上高減少を経験した。市場競争が激化する中で、新商品のプロモーション不足やデジタルトランスフォーメーション(DX)の遅れが響いたとみられる。
そして現在、処理水放出の影響が、日本ブランドの化粧品の成分や効能などに対するこれまでの信頼度を打ち消すほどに広がっている。中国市場での生き残りに向け、日本の化粧品メーカーが立ち向かわなければならない課題はますます増えている。
(36Kr Japan編集部)
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