タオバオがホットワード検索を導入 新たな潜在需要の掘り起こし

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「熱捜」と呼ばれるホットワード検索は、かなり前から大手SNSメディア「微博(ウェイボー)」の専売特許ではなくなっている。先日、ウェイボーの大株主であるアリババ傘下のECモール「タオバオ(淘宝網)」もホットワード検索機能をローンチし、現在はサイトを訪れる50%のユーザーを対象としたA/Bテストを実施中だ。タオバオのトップページにある検索窓をクリックすると、ホットワード検索ランキングが表示される。このホットワードは、ウェイボーのホットワード検索システムとよく似ているものの、タオバオユーザーが商品検索で使用したキーワードに基づいて生成されたものではない。

9月19日付のタオバオホットワードランキングのスクリーンショット

このホットワードをよくよく観察すると、ウェイボーとタオバオには奇妙な連携がみられることが分かった。例えば「#喫独食太香了#(ひとり飯は最高)」というホットワードは、ウェイボーおよびタオバオ両方のランキングに表示されている。さらにホットワードの文末にはいずれも「薦(オススメ)」との文字が表示されており、システム上のアジェンダ設定による広告だということが分かる。タオバオは「ひとり飯」というトピックスにより1人用の小型調理家電をPRする狙いがあり、これにウェイボー上のハッシュタグ付きのホットワードを掛け合わせ、消費意欲を高めている形だ。アリババは独自の記念日マーケティングではかなり熟練した手法をみせているが、ウェイボー上のホットワードをタオバオと連動させることで、消費ニーズを生み出すもう一つの手法を編み出したといえる。

タオバオのホットワード検索ランキングで台湾の人気歌手ジェイ・チョウ(周傑倫)が1位になったことがある。「ジェイ・チョウ」をクリックすると、商品名を入力せずとも、彼が身に付けているものと同じ商品、アルバムおよび関連グッズが自動的に表示され、これらを購入できるようになっていた。さらにタオバオアプリの各タブでトップ画面に関連商品や商品のPR内容が表示される仕組みだった。

ただし、現時点ではすべてのホットワードで商品が自動表示されるわけではない。ホットワードと商品とのマッチング効率に関しては今後の改善余地があるようだ。

さらに、ほとんどのホットワードは、クリックして商品やコンテンツの検索画面に遷移する際、タオバオの商品検索で常用されるキーワードに自動変換される仕組みとなっている。例えば「#街頭時尚潮流icon#(ストリートファッショントレンドicon)」というホットワードをクリックすると、検索窓の文字は「フードパーカー」に変換されるといった具合だ。

通常のタオバオ検索はツール化されているため、ユーザーが商品を探す際の検索ワードは、往々にして商品の属性を表すシンプルなものになりがちだ。一方で検索履歴を元にした商品のレコメンド機能においては、アルゴリズムの効率が向上しているとはいえ、単調で範囲が狭く、同一商品が何度も表示されてしまうことが多い。さらには、そもそもの大前提として、ユーザーが自身の求めている商品を理解していなければ、検索もレコメンド機能も成立しない。ユーザーの消費意欲が薄い場合はもはやお手上げなのだ。

ここ数年、ソーシャルECアプリ「小紅書(RED)」をはじめとする商品紹介コミュニティが新しい商品の売り方を提供している。レコメンド商品を見て消費ニーズが呼び覚まされ、新たな購買意欲が次から次へと湧き出るというものだ。タオバオは以前からコンテンツコミュニティへの意気込みをみせており、2017年にはREDに対する3億ドル(約50億円)の出資を主導した。また昨年末には、REDとの接続に関する内部テストを開始し、特定の商品ではREDユーザーのレビューを見られるようになった。このほか、タオバオは9.9元(約150円)均一セールサイト「有好貨(YouHaoHuo)」やタオバオアプリ内の商品紹介用ショートビデオ「哇哦視頻(Waoshipin)」といったコンテンツリソースも蓄積している。このたび導入したホットワード検索によってこれらの既存のコンテンツを活性化できるほか、広告による収益化もさらに期待できる。

先日アリババの会長を退任したジャック・マー氏は、ECが人と人との関係を豊かにしたと語った。また毎日約3億人のアクティブユーザーが携帯電話を利用してショッピングし、毎晩6000万人以上のユーザー、特に女性が3~4時間を費やしてタオバオ内をウインドウショッピングしているとも述べた。

つまり、タオバオはすでにアプリ内を回遊する膨大なユーザーを抱えており、そのユーザーたちはより多くのコンテンツを求めているということだ。その上、タオバオ上のユーザー同士の繋がりは、当然ながら商品に限らずコンテンツを基盤として構築される。ホットワードはコミュニティのムードをある程度は盛り上げているものの、ユーザー同士の主体的なコミュニケーション、情報のシェア、お気に入り商品の紹介といったコンテンツエコシステムを構築するまでには、さらなる模索が必要だろう。
(翻訳・神部明果)

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