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米GE(ゼネラル・エレクトリック)は、中国の医療機器市場で一貫して相当なシェアを握っており、特にMRIなどの医用画像診断装置では、蘭フィリップス、独シーメンスと共に「GPS」と併称され、中国国内の市場占有率の半分を占めている。
GEは昨年6月にヘルスケア事業部門の分社化を宣言し、GEヘルスケアが設立された。中国事業の拡大に伴い、同社の事業成長戦略にも変化の兆しが見え始めている。
最新型マンモグラフィを中国でも生産
GEは医療のデジタル化を中国市場での「切り札」としており、「ヘルステック」、「プレシジョン・メディシン」などに注力し、スマート化を進めることで、中国市場での医療機関のIT化や分級診療(疾病の程度に応じた受診機関の選択を促す制度)に関するニーズに応えている。このほか、心血管疾患やがんなどの重大疾病の解決に向けた取り組みも、中国における同社の重要な目標の一つだ。
同社は重大疾病のスクリーニング検査や診療のニーズに応じ、CTシステム、X線診断装置、手術支援機器、核医学(RI)診断装置、超音波診断装置、麻酔器、心電計、患者モニタリング装置などの設備を中国に導入しており、中国国内ですでに5カ所の生産拠点を有している。
GEヘルスケア中国は先日、新型のデジタルマンモグラフィ(乳房用X線診断装置)「SenographeTM Crystal Nova(セノグラフ クリスタル ノヴァ)」を正式に発表した。この装置により早期の石灰化病変の検出率が大幅に向上するほか、迅速な撮影が可能となり、臨床検査の効率と診察の回転率向上に寄与するという。
同社はさらに、中国現地での研究開発、生産、サービス能力をさらに高めるため、ノヴァの生産・画像後処理システムのR&D拠点を中国に設立し、中国初のマンモグラフィ生産ラインを立ち上げている。
中国での乳がん早期発見を目指して
中国の重大疾病構造においても、乳がんは少なからぬ割合を占めている。現在、中国の女性のがんでの死亡率および罹患(りかん)率ともに一位を占めているのは乳がんであり、女性の健康を深刻に脅かしているため、早期検診・早期発見が重要な鍵を握る。
中国の悪性腫瘍関連レポート(1989~2008年)によれば、中国の乳がん罹患患者の相対生存率は73%、農村部に限れば55.9%であり、アメリカの乳がん患者の5年生存率が89%であるのに比べ、総じて低い数字を示していることが分かる。
中国政府はこれを受け、国家衛生健康委員会を含む10部門により、がん予防アクションプラン(2019~2022年)を共同で発表し、農村地域の適齢期の女性を対象とする乳がん・子宮頸(けい)がんのスクリーニング受診率を80%以上に引き上げるとの目標を明確に打ち出した。乳がん検診はもはや基幹病院の必須要件となりつつあるのだ。
だが、中国の乳がん検診は依然として模索段階にあり、画像診断医の配置のばらつきや末端医療機関の医療水準の未達が原因で、見落としや誤診といった問題が発生している。
GEヘルスケア中国のX線画像診断製品部門でマネージャーを務める張奕氏によれば、マンモグラフィを保有していない末端医療機関の数は現時点で1万カ所に達しているという。またマンモグラフィの普及に向け、最も市場ニーズの高い地域で研究開発と生産を行い、乳がんが多発している市場の現状に速やかに応え、地方都市の基幹病院や県級母子医療センターなどにおける大規模なスクリーニング検査のニーズを満たし、分級診療を推進することが必要と述べている。
GEヘルスケア中国の北京工場は操業から20年を経て、現在では「グローバルスマートマニュファクチャリングモデル工場」に指定されている。同社が初めて提唱したインダストリアル・インターネット技術およびビッグデータ分析をベースとし、デジタル・IT化ツールの革新・開発・活用、さらに人・モノ・データの流れの高度な統合・最適化によって、きわめて高い製品のクオリティとオペレーション全体の効率を実現している。
同社北京工場のマンモグラフィの年間生産台数は500台に達しており、出荷台数全体の3割以上が中国市場向けに供給されている。現時点では中国の母子医療センター、二級病院(医療水準などにより三級、二級、一級の順で分類される)、健診センターおよび私立病院を主要なターゲット顧客に定めているという。
すでにノヴァを導入した湖南省張家界市の母子医療センターの院長は「診察件数は大幅に増加しており、これを契機に当院での乳腺外科の開設を目指したい」と話している。
(翻訳・神部明果)
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