独自技術でAR-HUDをより快適に、設置コストも2割以上削減。中国新鋭「REAVIS」がシャオミなどから20億円調達

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車載用AR(拡張現実)ディスプレーを手がける「睿維視(REAVIS)」(全称:南京睿維視科技)が、プレシリーズAで紅杉中国(HongShan、旧セコイア・キャピタル・チャイナ)から、シリーズAで小米集団(シャオミ)から、計1億元(約20億円)近くを調達した。資金は、新技術の開発、研究所の拡張、製品の量産加速に充てる方針だという。

REAVISは2018年に英ケンブリッジで創業し、21年に中国で会社を設立した。本社を江蘇省南京市に構え、研究開発センターをケンブリッジに置くほか、河北省邢台市に工場を設けている。ARディスプレーの新たなソリューションの開発に注力しており、現在は主にヘッドアップディスプレー「HUD」を手がけている。

HUDは、車のフロントガラスに走行状況やナビゲーションなどをバーチャル映像として投影するもので、運転手の目の前に必要な情報を表示して運転の安全性を向上させる。平安証券のリポートによると、2025年には中国のHUDの出荷台数は800万台に達し、市場規模は22年の約3.5倍に拡大して100億元(約2000億円)規模になる見込みだという。

HUDの課題の一つに、複数のガラスを通して投影された映像が二重に見える「ゴースト現象」の解消がある。現在は対策として、ガラスとガラスの間にくさび形のPVB(ポリビニルブチラール)フィルムをはさみ込むのが一般的だ。しかし、PVBフィルムを利用したフロントガラスは特注する必要があり、HUDの設置コストが増加してしまう。これがHUDの普及が進まない原因となっている。現在のところ、商用車や軌道交通の標準装備としてHUDが量産された事例はない。

REAVISが独自開発した「Parallel Vector(並列ベクトル)」技術は、PVBフィルムなしの一般的なフロントガラスでもゴースト現象が発生しないHUDを実現する。並列ベクトル技術を使えば、乗用車のHUD設置コストを2割以上削減できるという。将来的には、商用車や軌道交通の分野にも活用が広がるだろう。

REAVIS HUD

さらにREAVISの並列ベクトル技術は、投影距離の異なる立体的な映像も可能にする。これまでは特注のフロントガラスが必要だったが、この技術により一般的なフロントガラスでもゴースト現象を発生させることなく、複数の投影距離で情報を表示できるようになる。これによりドライバーの視線移動による負担を減らし、ARを利用した運転をより快適にしてくれる。

同社はすでに、複数の量産プロジェクトを受注しており、早ければ年内にも生産開始できる見込みだという。また、国内外の複数の有名自動車メーカーと共同で研究開発を進めており、その範囲は乗用車や商用車、軌道交通だけでなく、航空分野にも広がっている。

今後は光学技術の強みを生かしてHUDのラインアップを拡大する計画で、将来的にはホログラフィック方式のHUDを開発し、より運転に没入できるスマートコックピットの開発を後押しする方針だという。

*2023年12月19日のレート(1元=約20円)で計算しています。

(翻訳・田村広子)

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