中国新興EV販売台数、全体的に振るわず 価格競争がさらに激化へ:24年2月

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中国新興EV販売台数、全体的に振るわず 価格競争がさらに激化へ:24年2月

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中国の主な新興電気自動車(EV)メーカーが、2024年2月の新車販売台数(納車台数)を発表した。各社とも春節(旧正月)に向けて活発な販促活動を実施したものの、春節連休(2月10日〜17日)で工場が稼働しなかったことなどが影響し、全体的に前月より販売台数を落とす結果となった。

また、上位2位の順番は1月と変わりなく、それぞれ華為技術(ファーウェイ)が打ち出すEVブランド「問界(AITO)」と理想汽車(Li Auto)だった。2社とも販売台数が2万台を超え、その他のメーカーは軒並み1万台を下回った。

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以下に、24年2月の主要新興EVメーカーの販売台数ランキングをまとめた。

1位:AITO

自動車中堅の賽力斯集団(SERES)と華為技術(ファーウェイ)が共同運営するEVブランド「問界(AITO)」の2月の販売台数は、前年同月比503.2%増、前月比35.9%減の2万1142台だった。このうち、主力のスポーツ用多目的車(SUV)「M7」が約1万8500台を占めた。

M7は累計販売台数15万台を超える人気で、すでに10万台余りが納車されている。2月26日には、新車種「M9」の大規模納車も始まっており、3月の販売台数は増加に転じるとみられる。

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2位:理想汽車

理想汽車(Li Auto)の2月の販売台数は、前年同月比21.8%増、前月比35.0%減の2万251台だった。

李想CEOによると、2月は春節の8連休があったことに加え、人気のLシリーズがモデルチェンジの時期にあたり、一部車種が在庫切れを起こしていたことが響いた。とはいえ、春節連休の期間を除けば1日あたりの納車台数は1000台近くと前年同月を上回ったという。

3月には、同社初のピュアEVでミニバン型多目的車(MPV)「MEGA」とLシリーズの24年モデルの納車が始まる。李CEOは、3月の販売台数が5万台の水準に回復するとの見通しを示している。

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3位: NIO

蔚来汽車(NIO)の2月の販売台数は、前年同月比33.1%減、前月比19.1%減の8132台だった。

同社はこれまで高価格帯のEVを打ち出してきたが、今後の競争力強化に向けて多角化戦略を進めている。4〜6月期には、長年温めてきた中価格帯の新ブランド「ALPS(阿爾卑斯)」初の車種を発表し、10〜12月期に納車を開始する予定だという。

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4位: ZEEKR

吉利汽車(Geely Automobile)傘下の高級EVブランド「極氪(ZEEKR)」の2月の販売台数は、前年同月比38.0%増、前月比40.1%減の7510台だった。

同社は23年11月、ニューヨーク証券取引所に上場目論見書を提出している。新規株式公開(IPO)で10億ドル(約1480億円)超を調達し、評価額100億ドル(約1兆4800億円)超を目指す計画だという。

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5位:零跑汽車

零跑汽車(Leap Motor)の2月の販売台数は、前年同月比105.3%増、前月比46.5%減の6566台だった。

その他

哪吒汽車(NETA)は、2月の販売台数が前年同月比39.3%減、前月比では40%減の6085台となり、トップ5圏外に転落した。

23年通年の販売台数ではトップ3に入った小鵬汽車(XPeng Motors)も振るわず、2月の販売台数は前年同月比24.4%減、前月比44.9%減の4545台にとどまった。新型の高級ミニバン「X9」は、1月1日の発表からこれまでに累計4000台近くを納車済みだが、3月には量産体制が整い、納車を加速できる見込みだという。

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2月は春節連休の影響もあり、例年新興EVだけでなく自動車メーカー各社の販売台数が落ち込む傾向にある。3月は回復が期待される一方で、価格競争の激化や業界再編の兆しも見える。

中国EV最大手の比亜迪(BYD)は2月、セダンタイプ「秦PLUS」の24年モデルを、従来モデルよりも価格をぐっと抑えて打ち出した。他社もこれに追随し、低価格のエントリーモデルの発表や一部モデルの値下げなどに動いている。

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*2024年3月7日のレート(1ドル=148円)で計算しています。

(36Kr Japan編集部)

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