中国ライブコマース旋風に新ビジネスが続出、ものが売れるインフルエンサーが生き残る

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

特集注目記事

中国ライブコマース旋風に新ビジネスが続出、ものが売れるインフルエンサーが生き残る

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

近年、ライブ配信を通じて商品のPRと売買が行えるライブコマースが中国で盛り上がりを見せている。大手ECサイト「淘宝(タオバオ)」のライブコマース「淘宝直播(タオバオライブ)」における2018年の流通総額は、前年同期比で約400%増加し、1000億元(約1兆5000億円)を突破した。売上1億元(約15億円)以上のライバー(ライブ配信者を行う人)は81名。タオバオのコンテンツエコシステム・シニアディレクターの聞仲氏は、「今後3年間でタオバオライブの流通総額は5000億元(約7兆5000億円)規模に拡大するだろう」と語る。

タオバオだけではない。「京東(JD.com)」などのECサイトや、「TikTok(抖音)」や「快手(Kwai)」などのショート動画共有アプリもライブコマースに取り組み、模索している。2016年にライブコマースを開始したタオバオは、3年あまりの試行錯誤を経て、すでに完全なエコシステムを構築した。

上記の図に示された通り、タオバオのライブコマースエコシステムは大きく2つのタイプに分かれる。1つは優れた販売力を持つインフルエンサー(人)中心であり、もう1つは豊富な商品(貨)を保有する店舗中心である。そのため、それぞれのエコシステムをサポートしているサービス業者も異なる。

タオバオライブの責任者である趙圓圓氏によれば、現在タオバオでライブ配信を行う業者は1000店舗を超え、契約しているインフルエンサーは約1万人だという。

競争が日々激しさを増すライブコマース業界において、ライバーには一定のファンを獲得することが求められる。ただし、ファン数を増やすためには、ライバー本人の魅力はもちろんのこと、商品の多様さと低価格がファンの心をつかんでいるため、商品をスムーズに供給できるサプライヤーの存在が不可欠だ。

インフルエンサー中心の店舗向けの商品供給システム

優れた販売力を持つインフルエンサー中心の店舗では、独自のサプライチェーンを構築するには至らないのが現状だ。そのため、近頃よく見られるのは、インフルエンサーによる配信を通じて、消費者を豊富な商品を持つ特定の店舗へ誘導するというモデルである。

また、越境EC向けに商品の選定、仕入れ、在庫管理、物流等のサービスをまとめて行う中間業者も存在する。商品をスムーズに供給するためには多様なチャネルが必要であり、各プロセスが迅速に反応できる状態でなければならない。中間業者は海外企業の誘致等のサービスも代行する。例えば先日韓国で行われた韓国ブランド特集のライブ配信では、インフルエンサーはライブ配信だけに専念し、韓国企業の誘致及び事前準備は中間業者「千悦」が担当したという。千悦の去年の売上高は3億元(約45億円)で、1000万元(約1億5000万円)の利益を上げた。

豊富な商品を保有する店舗向けのライバー育成サービス

豊富な商品を保有する店舗によるライブ配信回数は全体の9割を占めており、これらの店舗の売り上げはタオバオライブの流通総額の7割を占めている。店舗は大きく2つに分かれ、1つ目はライブコマースを行う以前から実店舗やECを通じて一定のファンを獲得していた店舗、2つ目は個人で事業を行う小規模店舗である。

後者の場合、元々ECの経験があるわけでも、人気インフルエンサーを抱えているわけでもない。このため、こうした小規模店舗向けにライブ配信やライバー育成などのサービスを提供する「晨聚」等の企業も誕生している。数千万というファン数を誇る有名店舗とは異なり、晨聚のファン数は100万人にも満たないが、それでも常にタオバオの人気店舗TOP10にランクインしている。晨聚は店舗デザイン、新商品の選定、カスタマーサービス等の運営代行サービスも提供している。

独自なチャネルで展開するPBも続々と誕生

ビジネスモデルを「インフルエンサー中心」から「商品中心」に変えた企業もある。例えば「構美」や「妃魚」は、自社でサプライチェーンを構築し、商品の安定供給を可能にした。

構美は300以上のアパレル工場と提携関係にあり、最新の在庫情報が随時更新されるため、ライブ配信する際、ライバーは販売数量の目安を確認することができる。1回の配信で販売する商品は、SKU毎30~100個、全部で5~10万個と決められている。これまではアパレルが中心だった構美だが、今後は日用品分野も展開する予定だ。全ての商品を自社の店舗内で扱うことにより、将来的には「構美」というストアブランドの立ち上げを視野に入れているという。

一方、主に中古ブランド品を扱う「妃魚」もプライベートブランドの立ち上げを目指している。タオバオの大規模なB2Cサイト及び各都市の自社倉庫からライブ配信を行い、消費者を妃魚のタオバオ店舗に誘導する仕組みだ。現在契約しているライバー数は20名にのぼる。客単価が高く、市場はブルーオーシャンであるため、妃魚1か月あたりのGMV(流通取引総額)は約7000万元(約10億5000万円)に達する。

妃魚のライブ配信ページ

中国で巻き起こるライブコマース旋風。加熱するライブ配信、運営代行サービス、越境ECの中間業者等、様々な企業やサービスが生まれる中、誰がこの競争を勝ち抜いていけるのか。今後も注目していきたい。
(翻訳・桃紅柳緑)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録