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中国IT大手のアリババがこのほど、大規模言語モデル(LLM)の研究開発に取り組む中国の生成AI系新星の「MiniMax」の資金調達を主導し、6億ドル(約900億円)以上を出資したことが、関係者の話で明らかになった。
MiniMaxは中国のAI大手センスタイム(商湯科技)の元幹部によって2021年に設立され、テキスト・音声・画像に対応した高度なマルチモーダルAI技術を持つ。今回の資金調達後、MiniMaxの評価額は25億ドル(約3700億円)を超えたという。
MiniMaxを含め、これまでアリババはLLMの分野で、月之暗面(Moonshot AI)、智譜AI(Zhipu AI)、百川智能(Baichuan Intelligent)、零一万物(01.AI)のユニコーン5社に出資してきた。
2月中旬に月之暗面がシリーズBで8億ドル(約1200億円)の資金調達を完了した。アリババはこのラウンドを主導するため、出資額や出資比率を大幅に増やした結果、美団(Meituan)や小紅書(RED)が月之暗面への出資から撤退する事態になったとの噂もあった。
LLM分野への積極的な投資や、アリババが昨年末に打ち出したAI主導の戦略からは、LLM分野での勢力拡大を狙う同社の大きな野心がうかがえる。
アリババはLLM開発企業への出資を通じて、強力な演算能力を必要とする企業とアリババクラウドの長期的な連携を実現したと、ある投資関係者は語る。というのも、アリババはこれらの企業に投資する際、その一部を計算リソースという形で支払っているからだ。実際に、LLMの運用はクラウドサービスに大きく依存しており、調達した資金の大部分がクラウドベンダーから計算リソースを購入するために用いられるほどだという。
調査会社IDCが発表した中国のパブリッククラウドに関するリポートによると、アリババクラウドは2022年下半期にシェア31.9%で市場トップを維持したものの、前年同期の36.7%からは4.8ポイント減少した。23年上半期にはシェアが29.9%にまで縮小し、パブリッククラウド市場そのものの集中度も前年同期から3%低下している。
このタイミングでアリババがMiniMaxに巨額を投じたのは、市場における主導権を取り戻し、クラウドサービス構築に向けた長期計画をさらに補強する目的があるのだろう。
(翻訳・畠中裕子)
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