BYDやBMWも頼る車の宣伝 中国・比特視界、画像・動画効率制作

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自動車メーカーの新車の宣伝にCGI(コンピューター生成画像・動画)は欠かせない。新型車のデザインやスペックといったセールスポイントを迅速に伝える手段として、新車発表会や広告などには必ず登場する。

自動車のCGIを制作する工程は、企画、アイデアの練り上げ、素材集め、顧客との意見交換、デモ画像のレンダリングなどに分かれており、これまでは完成に3〜6カ月かかっていた。しかし、新車発表のペースが早まるのに伴い、より短期間でCGIを制作する必要が出てきた。

CGIを専門に手がける中国企業「比特視界(BITONE)」の最高経営責任者(CEO)を務める李晶(Kelly)氏によると、顧客の自動車メーカーが求めるCGIの制作期間が、現在は1〜2カ月に短縮されているという。

2009年に設立された比特視界は、CGI技術と独自のソリューションを活用し、CGI制作だけでなくAR(拡張現実)やVR(仮想現実)を活用したバーチャル体験を提供する。同社のサービスを利用する国内外の自動車メーカーはすでに、独BMWや中国BYDをはじめ70社を超えたという。

CGIの制作期間を短縮するためには、制作効率を高める必要がある。比特視界は、米NVIDIA(エヌビディア)の3D開発プラットフォーム「NVIDIA Omniverse Enterprise」を用いて、独自の3D画像制作ツール「BSI」を開発し、オンライン上でのリアルタイムレンダリングを実現した。

NVIDIA Omniverse Enterpriseは、リアルタイムレイトレーシングを支える「NVIDIA RTX」とリアルタイム物理演算エンジンの「NVIDIA PhysX」を利用して、デザインチームのメンバー全員がバーチャル空間の中で同時に共同作業するのをサポートする。

BSIは、リアルタイムレンダリング、クラウドサービス、複数人の共同作業の3つの機能を集約して、シンプルな操作方法を提供。3D画像の納品スピードを大幅に向上させた。

比特視界のデジタルエンジニアリング部門の宋暁斌ディレクターは「当社では以前、まずは見本用のレンダリング画像を制作し、ひとつひとつ顧客に確認してもらっていた。現在は、ブラウザ上で4Kのレンダリング画像を提示し、成果物に対するフィードバックを即座に得られるようになった」と語る。

BSIは、レンダリングに必要な時間を従来の6時間から20分に短縮し、2Kから8Kの高精細な自動車画像を1秒で出力できるようにした。これまでに比特視界が受注した一番の特急案件は制作期間がわずか20日間だったが、BSIを利用して難なく完成させられたという。李CEOは、BSIのおかげで迅速なCGI画像の制作が可能になっただけでなく、従来は習熟に3年かかっていた制作のプロセスを容易に理解できるようになり、新卒1年目から制作に参加できるようになったと説明した。比特視界は現在、CGI動画の制作ツールを開発中だ。

今後は、より多くの中国の自動車メーカーと提携し、海外向けのマーケティングやプロモーションを進めていく計画。現時点のチームは100人規模だが、全国各地で新たなチームを組織している最中だという。

(翻訳・田村広子)

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