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いわゆる「アップル税」が独占禁止法に違反していると主張し、中国のアップルユーザーが米アップルに対しアプリ内課金とアップルペイの強制使用の停止を求めた訴訟で、上海知識産権法院は5月29日、「アップルストアは中国のアプリ市場で独占的な地位にあるものの、アップルは権利の濫用はしていない」として、原告の訴えを退けた。「消費者がアップルを独禁法違反で訴えた初めての訴訟」として、中国メディアが一斉に報じた。
報道によると、原告はアップルがアップルストア経由で販売される商品に最大30%の手数料を課していることと、アプリ内での課金でアップルの決済システムを強制的に使わせていることが、独占的地位を利用した権利の濫用にあたると主張していた。一審の判決は、アップルの独占的地位を認めたものの、権利の濫用には当たらないと判断し、訴えを棄却した。
iPhoneユーザー向けのアップルストアの手数料は「アップル税」と呼ばれ、世界的な人気ゲーム「フォートナイト」を運営する米エピックゲームズが2020年にアップルを独禁法違反で訴えるなど、世界で多くの紛争に発展している。米国では司法省などが3月下旬にアップルを独禁法違反で提訴したのをきっかけに、消費者による同社への集団訴訟が相次いでいる。
中国では政府が2020年ごろからプラットフォーマーの規制を強化し、独禁法の改正も進めた。独禁法違反でプラットフォーマーを訴える権利を最高人民法院(最高裁に相当)が消費者に事実上与えたのを受け、原告の金氏は2021年に訴訟に踏み切った。
各種報道によると、アップルの売上高上位3市場の中で、中国の手数料は唯一割引きがなく最も高い水準だという。原告代理人は、控訴する意向を示している。
(文・浦上早苗)
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