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モバイルインターネットサービスを手掛ける「Skyroam」がこのほど、シリーズC2で2000万ドル(約21億7000万円)を調達した。Mesh VenturesとPhi Venturesがリードインベスターを務め、新たにPremier Ventures Capitalも出資に加わったほか、Vickers Venture Partners、ジャフコアジア(JAFCO Investment Asia Pacific)、GSR Ventures(金沙江創投)も再出資した。Skyloamの劉晶CEOによれば、今回調達した資金は主に同社のスマートフォンとIoT分野での新たな業務開拓に充てられる。
2009年創業のSkyroamは、特許取得済みのVirtual eSIM技術をベースに世界200以上の通信事業者と提携しており、ソフトウェア方式による各国でのポータブルホットスポットデータサービスを提供している。
同社が発売した第3世代のグローバルモバイルWi-Fiルーター「Skyroam Solis X」は6000mAhのバッテリーを内蔵しており、最大10台のデバイスが4Gネットワークに同時接続でき、SIMカードも不要だ。さらに一度の充電で連続16時間使用でき、モバイルバッテリーとしても使用できるほか、自撮り機能、スマートスピーカー機能も搭載。同社の海外Wi-Fi事業は昨年すでに黒字化を実現している。
Skyroam Solis Xには同社のVirtual eSIM技術、すなわちバーチャルSIMが搭載されており、各通信事業者のSIMカードを購入しなくともインターネットを利用できる。同技術の仕組みとしては、まずSkyroamのデータセンター(サーバー)には提携キャリアのSIMカード情報が複数保存されている。利用者の通信端末が付近の通信電波を検索すると、その電波情報がデータセンターに伝送される。さらにデータセンターが電波の強度に基づき最適なキャリアを自動で割り当て、SIM情報の関連付けを行い、通信端末に伝送することで現地でインターネットが使用できるようになる。電波の強度に変化が生じた際には、データセンターがより最適なネットワークを自動的に割り当ててくれる。
同社はさらに、Virtual eSIM技術のアルゴリズムによるモデルをソフトウェア化し、独自のバーチャルeSIMソフトウェア「SIMO」を開発した。SIMOはスマートフォン、タブレット、ノートパソコンといったあらゆるモバイル端末に組み込むことができ、SIMカードなしで高速モバイルインターネットサービスが利用できる。
Skyroamはまずスマートフォン向け通信事業をメインに推進しており、ターゲット市場は中国が提唱する巨大経済圏「一帯一路」に属する発展途上国やアフリカ諸国だ。「これらの国々ではネットワークの敷設が分散しており、一社の通信サービスのみでは全国をカバーできない。そうした国の全域でモバイルインターネットをスムーズに利用したければ、2枚以上のSIMカードを持つ必要がある上に、電波の状況に応じて自身でSIMを切り替える必要があった」と劉氏は述べる。
Skyroamは昨年、インドネシア現地の携帯メーカーと提携し、SIMOをあらかじめ組み込んだスマートフォンをリリースしたところ、現地ユーザーの好評やインドネシア通信情報省からの前向きな反響を得ることができた。現在は「Tecno」などのブランドで知られる携帯メーカー「伝音控股(TRANSSION)」との間でSIMOの実装に関する提携を進めており、近い将来、アフリカでもSkyroamのSIMOを実装したスマートフォンが発売される見込みだ。
同社はさらに半導体メーカーとも高度な提携を進めており、台湾半導体大手のメディアテック(聯発科技)の全ての4GプロセッサーにはすでにeSIMが実装されているという。
通信事業者や半導体・端末メーカーとのこうした協業を通じ、ウィンウィンの関係を築くことがSkyroamのコアコンピタンスでもある。「当社のSIMOが各種スマート端末のインターネット接続プラットフォームとなることで、メーカーは製品の競争力の向上や販売数の拡大を実現できる。また通信事業者もデータ通信量の増加により売上拡大が見込める」と劉氏は述べている。(翻訳・神部明果)
※記事内の写真はSkyroam提供による
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