アリババクラウド、パリ五輪では省電力や男女平等にも貢献

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中国テック大手のアリババグループ傘下でクラウドサービスを手掛けるアリババクラウド・ジャパンサービス社はこのほど、2024年パリオリンピック(パリ五輪)での取り組みに関する記者会見を東京都内で開いた。オリンピック放送機構(OBS)向けに提供しているコンテンツ配信プラットフォーム「OBSクラウド」の運用状況を紹介したほか、クラウド技術を通じて大会運営の省電力化や男女平等の取り組みにも貢献していることを説明した。

会見では冒頭、アリババの蔡崇信(ジョセフ・ツァイ)会長がビデオメッセージを寄せた。蔡氏は「オリンピックは当社のクラウドと人工知能(AI)の技術を世界に向けて紹介する貴重な機会になっている」と語り、自社が2017年に国際オリンピック委員会(IOC)と「ワールドワイド・パートナー」契約を結んでクラウドサービスと電子商取引(EC)の公式パートナーになった意義を強調した。

アリババの蔡崇信会長

続いて、アリババクラウド・ジャパンサービスの与謝野正宇チーフソリューションアーキテクトが説明に立った。与謝野氏はアリババが18年、夏季・冬季オリンピックでホスト放送局の役割を果たすOBSと共同で、OBSクラウドを立ち上げた経緯を回顧。21年の夏季東京大会で実用化され、22年の冬季北京大会で世界各国の放送局による利用が広がり、パリ五輪では「OBSクラウド3.0」と呼ぶ最新システムに発展したと解説した。

世界の放送局は現在、OBSが提供する国際映像を自国に配信する場合に1964年の東京大会で運営が始まった衛星放送を使うか、OBSクラウドを経由するかを選択できる状況にある。パリ五輪では、世界の54放送局がOBSクラウド3.0を使って試合などの映像を配信していることが明らかになっている。与謝野氏は個別の局名は明らかにしなかったが、54局の中心は発展途上国のテレビ局で、先進国である日本の局も1つ含まれていると語った。

途上国のテレビ局から人気の理由について「OBSクラウド3.0は衛星放送に比べ、設備を大幅に簡略化できる」ことを与謝野氏は挙げた。さらに、OBSクラウド3.0は途上国で普及しているスマートフォンによる視聴に適した方式で配信できることも指摘した。パリ五輪では7人制ラグビー、バドミントン、陸上競技など14会場の21競技がOBSクラウドによる配信対象になったことも明らかにした。

アリババクラウドとOBS、クラウド技術とAIを統合したOBSクラウド3.0を発表

クラウドを使ったコンテンツ配信では一般に、データ転送のレイテンシー(遅延)が起こりやすい。しかし、与謝野氏はOBSクラウド3.0のレイテンシーは「衛星放送と変わらない水準にある」と述べた。アリババが主力とする中国国内のECでは消費者と即時・双方向でデータをやり取りするライブコマースなどが定着したため、レイテンシーを回避する技術の蓄積が進んでいる。この技術がパリ五輪のコンテンツ配信で応用できたのだという。

与謝野氏は会見で、IOCがパリ五輪の競技会場における電力消費の測定・分析を支援するため、アリババクラウドの「エネルギー・エキスパート」と呼ぶサービスを導入していることも紹介した。エネルギー・エキスパートは全35会場に100台のスマート電気メーターを設置し、電力消費量や気象状況などエネルギーに関連する情報をダッシュボードで視認できる仕組み。18年の冬季平昌大会、21年の東京大会など過去の電力データと比較・分析できる仕様とし、パリ五輪の省電力化を支援している。

さらに、アリババが男女平等を掲げるパリ五輪に合わせ、ショートフィルム「女性アスリートの偉業に捧ぐ(原題:To the Greatness of HER)」を公開したことにも言及した。このフィルムはアリババクラウドのディープラーニング(深層学習)技術を使用して、1924年の前回パリ五輪のアーカイブ映像などをカラー化しつつ、かつての著名な女性アスリート3人の功績をたたえている。

【図解】労働力率がアジアで最高、女性パワーが中国経済にいかに貢献しているか

※アイキャッチ写真:フランスの伝説的テニスプレーヤーであり、オリンピックチャンピオンであるスザンヌ・ランラン氏
@1920/International Olympic Committee (IOC) All rights reserved

(36Kr Japan編集部)

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