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日本の主要自治体がスタートアップ支援を大々的に強化し、グローバル市場への橋渡しを積極的に推進している。その一環として、10月末にシンガポールで開催された「Singapore Week of Innovation & Technology(SWITCH)」では、JETROが推進役となり東京や関西、愛知、福岡、横浜など多くの自治体がブースを展開。日本のスタートアップの技術力や国際的な連携への強い意欲を示し、多くの来場者の注目を集めた。
SWITCHは、アジア最大級のテックイベントであり、世界中の企業家や投資家、技術者が集まり、最新のイノベーションを発表し合う貴重な場となっている。今年は9回目の開催で、来場者数は過去最多の約2万人に達する勢いだ。
「攻めの姿勢」の関西発スタートアップ
日本各地から自治体と日本企業がSWITCHに参加していたが、特に精力的な活動を行っていたのは関西地域(大阪・京都・兵庫/神戸)のスタートアップだ。同地域は内閣府より「グローバル拠点都市」に選出され、グローバル規模でのスタートアップ・エコシステムの形成と発展が期待される。JETROは2022年度に「Kansai Startup Mashups(関連記事)」という海外向けブランドを立ち上げ、関西スタートアップのグローバル展開を行っている。
今回の滞在期間中、関西スタートアップ6社はSWITCH展示ブースで来場者対応に留まらず、現地の有力投資家や販路拡大に繋がる協業パートナー候補、見込客になる政府関係者を直接訪問するなど、具体的な成果を得るための商談活動を行った。
例えば、京都発のスマートホーム開発の「mui Lab」は、将来のアジア展開を見据え、シンガポールの建築・インテリアデザイン事務所や、大手建築会社のイノベーション責任者とのディスカッションを実施した。代表の大木和典氏は「結果に繋がるかは今後の話し合い次第だが、近い業界関係者との会話ができたからこそmui Labのパーパスやバリューに共感していただけて、非常に有意義な時間だった」と述べた。
今回の関西スタートアップには、ライフサイエンス、ロボティクス、クリーンエネルギーといった先端分野で独自の技術を有する企業ばかりだが、資金調達や販路拡大、市場調査と各社のニーズも三者三様だった。今回はJETRO大阪の尽力により、企業それぞれのニーズに合わせて、投資家や現地企業と具体的な協業機会を創出でき、スタートアップの反応も上々だ。
他にない技術力とユニークさで勝負、横浜が支援するスタートアップ
横浜市もSWITCH 2024に参加し、ユニークなスタートアップ2社を支援した。
まずは、日本の食文化に欠かせず、海外での需要も高まる「ワサビ」を世界中どこでも栽培可能にするアグリテック・スタートアップ「NEXTAGE」だ。栽培専用のコンテナ内に先端的なAIとIoT技術を活用し、デジタル技術によって効率と収益を追求するというユニークな発想で来場者を驚かせた。今回のSWITCHでは海外展開に向けたグローバルサプライチェーン構築のためのパートナー探索が目的だが、実際に現地の流通・物流事業者など今後に繋がるネットワークが多数できたという。
もう1社はヘルスケア・スタートアップ「RimTech」だ。今年のSWITCHはAIがテーマだったが、AIは企業ごとの差別化が難しく、それよりもヘルスケア企業のブースが盛況だったという声も聞かれた。「RimTech」は、音声で健康状態を簡単にチェックできる技術を披露した。ほんの数秒の発話で健康状況を数値化できるとあって、その手軽さと興味深さから多くの来場者が訪れた。将来的には従業員の心身不調の予防や転時の眠気リス検測に繋げたりするなど、広い用途が見込まれる。代表の岡崎貫治氏は「アジアや中東などの新興市場でチャレンジしたい」と意気込む。
このような国際的なイベントへの参加は、日本のスタートアップが持つ革新的な技術をグローバル市場に紹介し、その存在感を高める重要な機会となる。特に関西スタートアップの成果が示すように、現地の有力キーパーソンとの接触や商談の機会をいかに創出できるかが、今後の成功に繋げるカギになるだろう。
(36Kr Japan編集部)
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